カテゴリー: 生活オリエンテーション

  • 特定技能の住居(社宅・寮)|7.5㎡・家賃の上限・保証人

    特定技能の住居(社宅・寮)|7.5㎡・家賃の上限・保証人

    特定技能の外国人を受け入れるとき、住まいの準備は避けて通れません。社宅や寮を用意するなら広さは足りているか、家賃はいくらまで給与から差し引けるか、本人がアパートを借りるなら会社が保証人になる必要があるのか。支援担当者がつまずきやすいのが、この住居まわりのルールです。

    出入国在留管理庁の運用要領は、住居の確保を義務的支援のひとつとし、居室の広さ(1人あたり7.5㎡以上)、社宅の家賃の上限、水道光熱費や備品代の考え方まで具体的に示しています。この記事では、運用要領(支援に関する別冊は令和7年4月1日一部改正、本体は令和8年8月20日一部改正)と労働基準法にそって、住居の基準と費用、必要な書類、寮のルールの作り方、入居の日に母国語で伝えることを整理します。

    この記事の要点

    • 方法は3つ:本人が借りる部屋探しの補助(保証人の確保を含む)、会社が借りて提供する借上げ社宅、自社所有の社宅・寮。本人の希望に基づいて支援します。
    • 広さ:居室は1人あたり7.5㎡以上。ルームシェアは居室の合計面積を人数で割って7.5㎡以上。ロフトは含めません。
    • 家賃の上限:借上げ社宅は、借上げ費用(管理費・共益費を含む)を入居する特定技能外国人の人数で割った額まで。敷金・礼金・仲介手数料などは負担させられません。水道光熱費は実費を同居人数で割った額まで。
    • 書類と説明:給与から差し引くなら雇用条件書に名目と額を書き、賃金控除の労使協定を結びます。広さと本人の負担額は、事前ガイダンスで説明します。
    • 寮のルール:寮が事業附属寄宿舎に当たるなら、寄宿舎規則を作って労働基準監督署に届け出ます。外出・外泊を会社の承認制にすることはできません。

    ▲ この記事の要点をショート動画でチェック

    住居の確保は3つの方法から、本人の希望に基づいて

    特定技能基準省令は、1号特定技能外国人支援計画に、本人が結ぶ賃貸借契約の債務の保証人となることその他の適切な住居の確保に係る支援を盛り込むよう定めています(第3条第1項第1号ハ)。運用要領は、本人が住居を確保していない場合に、次のいずれかの方法で、本人の希望に基づいて支援するよう求めています。

    方法 賃貸借契約の借主 会社がすること
    ① 本人が借りる部屋探しを補助 本人 不動産仲介事業者や賃貸物件の情報を提供し、必要に応じて同行する。連帯保証人が必要で適当な人がいないときは、会社が連帯保証人になるか、利用できる家賃債務保証業者を確保して会社が緊急連絡先になる
    ② 借上げ社宅 会社 会社が賃借人として契約し、本人の合意のもとで住居として提供する
    ③ 自社所有の社宅・寮 なし(会社の所有物件) 会社が所有する社宅などを、本人の合意のもとで住居として提供する

    この支援は入社のときだけではありません。受入れ後に本人が転居する場合にも必要です(通勤が難しくなる配置換えなどの特段の事情がないのに、自分の都合で転居する場合を除く)。離職が決まった後も、特定技能雇用契約が続いている間は支援を行う必要があります。契約の解除・終了後、次の受入先が決まるまでの間に住居が必要になったときは、直近の受入れ機関が支援を行うなどして配慮することが望まれる、ともされています。

    一方、技能実習2号などから特定技能1号に移る人がすでに住居を確保していて、そこに住み続ける場合のように、支援が客観的に見て明らかに不要なときは実施しなくて差し支えありません。その住居から退去せざるを得なくなったときは、新たな住居確保の支援が必要です。

    広さの基準|居室は1人あたり7.5㎡以上

    運用要領は、一般的に日本に相当数存在する居室の面積などを考慮し、居室の広さとして1人あたり7.5㎡以上を求めています。ここでいう居室は、建築基準法第2条第4号の居室(居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室)のことで、ロフトなどは含まれません。

    ルームシェアは「居室の合計÷人数」で7.5㎡以上

    複数人で住む場合は、居室全体の面積を居住人数で割った面積が7.5㎡以上でなければなりません。たとえば図面上の面積が9.9㎡の洋室2部屋(合計19.8㎡)なら、2人で住めば1人9.9㎡で基準を満たしますが、3人で住むと1人6.6㎡で足りません。寮の人数を増やす前に、図面の面積で計算し直しましょう。

    「4.5畳」と書かれた部屋は7.5㎡あるとは限らない

    不動産広告の畳数は、畳1枚あたり1.62㎡(各室の壁心面積を畳数で割った数値)以上の広さがあるという意味で用いるルールです(不動産の表示に関する公正競争規約施行規則)。この基準で4.5畳を計算すると7.29㎡以上となり、表示だけでは7.5㎡に届くかどうか分かりません。畳数ではなく、図面や契約書に書かれた面積(㎡)で確かめるのが確実です。

    技能実習からの移行者は、寝室4.5㎡以上で認められる場合も

    技能実習2号などから特定技能1号に在留資格を変更する人が、申請の時点で会社がすでに確保している社宅などに住むことを希望する場合は、7.5㎡の基準から除かれます。ただしこの場合も、技能実習生に求められている寝室1人あたり4.5㎡以上は満たす必要があります。移行のときに省略できる支援・できない支援は、技能実習から特定技能へ|事前ガイダンス・生活オリエンは必要?で整理しています。

    日本人と同等の処遇にする

    運用要領は、住居について、同等の業務を行う日本人と同等の処遇を確保するよう求めています。日本人社員に社宅を提供しているなら同じように提供し、居室の広さも同等にする必要があります。特定技能基準省令第1条も、外国人であることを理由に、社員住宅などの福利厚生施設の利用について差別的な取扱いをしないことを求めています。

    家賃・費用の上限|借上げ社宅は「費用÷人数」まで

    社宅や寮の費用を本人から徴収すること自体はできますが、会社が社宅などを貸して経済的利益を得てはならず、上限が決まっています。食費や居住費など本人が定期に負担する費用は、本人が内容を十分に理解したうえで合意し、額が実費に相当する額その他の適正な額で、明細書などの書面が示されていることが条件です(上陸基準省令)。費目ごとの上限は次のとおりです。

    費用 徴収できる上限 注意点
    居住費(借上げ社宅) 借上げに要する費用(管理費・共益費を含む)を、入居する特定技能外国人の人数で割った額以内 敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金などは含まれず、本人に負担させられない
    居住費(自社所有の社宅) 実際に建設・改築などに要した費用(土地に関する費用を除く)、物件の耐用年数、入居する特定技能外国人の人数などから算出した合理的な額 計算の根拠を説明できるようにしておく
    水道・光熱費 実際に要した費用を、同居している人(会社やその家族を含む)の人数で割った額以内 検針票や請求書など、実費の記録を残しておく
    家電・家具・食器などの備品、火災保険・損害保険 実費の範囲内で、備品の耐用年数や入居人数などから算出した合理的な額(本人と合意している場合) 利益が本人に帰属し、本人がそれを十分に理解していること。保険は、被保険者や保険金の請求権者が本人であることなどを確認する
    本人が借りる部屋の敷金・礼金 本人の負担が原則 会社が全額または一部を負担するのは自由。家賃債務保証業者を使った場合の保証料は会社が負担する

    たとえば、管理費・共益費を含めて月9万円で借り上げた部屋に特定技能外国人3人が住むなら、1人あたりの居住費は月3万円以内です。入居時の礼金や仲介手数料は本人に負担させられないので、分割して家賃に上乗せすることもできません。

    居住費が高額な場合は、実費に相当する適正な額かどうか疑義が生じるため、追加の立証を求められることがあります。また、食費・住居費などを給与から天引きしていて、その額が適正でない場合は、「報酬の一部を支払わない行為」として、特定技能所属機関になれない欠格事由に当たる可能性がある、と運用要領本体は注意を促しています。

    給与から差し引くなら|雇用条件書・労使協定・支援計画書

    住居費を給与から差し引く、事前ガイダンスで説明する、記録を残す。住居まわりの書類と手続は、次の順で整えます。

    1. 雇用条件書(参考様式第1-6号):給与から定期的に差し引く費用は、名目と額を確実に書き、本人が理解できるようにします。様式の「賃金支払時に控除する項目」には食費・居住費・その他の欄があり、「労使協定に基づく賃金支払時の控除」の有無を書く欄もあります。
    2. 賃金控除の労使協定:税金や社会保険料のように法令で定められたもの以外を賃金から控除するには、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は労働者の過半数を代表する者)との書面による協定が必要です(労働基準法第24条)。
    3. 支援計画書(参考様式第1-17号):住居の欄に、居室の広さ(1人あたり7.5㎡以上か、移行者の寝室4.5㎡以上か)、居住費の徴収の有無と1か月あたりの額、自己所有物件か借上物件か、その額が実費に相当する適正な額である理由を書きます。
    4. 事前ガイダンス:在留資格の申請前に、住居確保の支援の内容を説明します。社宅などを貸す予定なら、広さと、家賃など本人が負担する金額も含めます。
    5. 支援の記録:支援の実施に関する管理簿に、確保した住居の住所、形態(賃貸・社宅など)、家賃などを記録します。
    6. 定期届出(年1回):毎年4月1日から5月31日までに、前年4月から3月までの分を届け出ます。届出事項の控除額には、食費と居住費(水道・光熱費を含む)の欄があります。

    雇用条件書と支援計画書は、本人が十分に理解できる言語で作成し、本人が内容を理解したうえで署名することが求められます。事前ガイダンスで説明する10項目は、特定技能「事前ガイダンス」とはにまとめています。

    本人がアパートを借りるときの支援

    本人が自分で部屋を借りる場合も、会社の支援は省けません。運用要領は、本人が賃借人として契約する住居は本人の意思に委ねられるとしつつ、その場合でも居室の広さや衛生面など、適切な住居を確保できるよう支援することを求めています。

    • 部屋探し:不動産仲介事業者や物件の情報を提供し、必要に応じて同行します。本人の希望、近隣の敷金などの相場、報酬額などを踏まえ、適切な住居を確保できるよう支援します。
    • 保証人:連帯保証人が必要で、適当な人がいないときは、会社が連帯保証人になるか、利用できる家賃債務保証業者を確保して会社が緊急連絡先になります。保証業者の保証料は会社が負担します。
    • 敷金・礼金:本人の負担が原則ですが、会社が全額を負担したり、本人と割合を決めて一部を負担したりすることは妨げられません。
    • 生活に必要な契約:銀行口座の開設、携帯電話、電気・ガス・水道の契約について、必要な書類の提供や窓口の案内、必要に応じた同行などで手続を補助します。

    国土交通省の「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」には、入居申込書、重要事項説明書、賃貸住宅標準契約書の見本や、契約時に使えるチェックシートが日本語を含む14か国語で掲載されています。仲介会社とのやりとりや、契約内容を本人に説明するときに役立ちます。

    寮が「事業附属寄宿舎」なら、寄宿舎規則を作って届け出る

    会社が用意する寮が労働基準法の「事業の附属寄宿舎」に当たる場合は、運用要領の住居の基準とは別に、労働基準法第10章(寄宿舎)のルールがかかります。寄宿舎に当たるかどうかは、通達(昭和23年3月30日付け基発508号)で、おおむね次の点から総合的に判断するとされています。

    • 相当人数の労働者が宿泊しているか、独立または区画された施設か
    • 便所・炊事場・浴室などが共同というだけでなく、一定の規律や制限のもとで起居寝食を共にする共同生活の実態があるか
    • 労務管理上、共同生活が求められているか、事業場の中や近くにあるか

    同じ通達は、社宅のように労働者がそれぞれ独立の生活を営むものや、福利厚生施設として設けられるアパート形式の寄宿舎は含まれないとしています。判断に迷うときは、所轄の労働基準監督署に確認しましょう。

    寄宿舎に当たる場合、使用者は次の事項について寄宿舎規則を作成し、所轄の労働基準監督署長に届け出なければなりません。変更したときも同じです(労働基準法第95条、事業附属寄宿舎規程第1条の2)。

    寄宿舎規則に定める事項 寄宿する労働者の過半数代表者の同意
    1 起床、就寝、外出及び外泊に関する事項 必要
    2 行事に関する事項 必要
    3 食事に関する事項 必要
    4 安全及び衛生に関する事項 必要
    5 建設物及び設備の管理に関する事項 (不要)

    規則の案はあらかじめ寄宿する労働者に周知し、入寮するときには本人に寄宿舎規則を示すこととされています(事業附属寄宿舎規程第2条・第3条)。外国人が暮らす寮なら、本人が読める言語で示すのが確実です。

    寮のルールに入れてはいけないこと

    労働基準法第94条は、寄宿する労働者の私生活の自由を侵すことを禁じ、寮長・室長などの選任に使用者が干渉することも禁じています。事業附属寄宿舎規程第4条は、私生活の自由を侵す行為の例として、外出・外泊について使用者の承認を受けさせること、教育・娯楽などの行事への参加を強制すること、共同の利益を害する場所と時間を除いて面会の自由を制限することを挙げています(工事期間中の建設現場の寄宿舎は、建設業附属寄宿舎規程第5条に同じ定めがあります)。

    パスポート・在留カード・携帯電話を取り上げない。寄宿舎に当たらない社宅やアパートでも同じです。運用要領本体は、本人の意思に反してパスポートや在留カードを保管すること(失踪防止の目的で保管していた場合も該当例として挙げられています)、携帯電話を取り上げて外部との連絡を断つこと、意に反して預貯金通帳を取り上げることなどを、特定技能所属機関になれない欠格事由につながる不正行為の例としています。

    入居の日に母国語で伝えること(冬の注意つき)

    住まいのルールは、生活オリエンテーションで伝える事項にも含まれています。運用要領は、生活一般としてごみの分別・出し方・収集日・粗大ごみの捨て方、夜中に大声で騒ぐなど近隣の迷惑になる行為を控えること、喫煙の制限を、防災・防犯として火災の予防(たばこの不始末、コンロ・ストーブの取扱い、消火器の使い方)、110番・119番・118番への通報、災害時の避難場所などを挙げています。寮に入るその日に、次の内容を母国語で伝えておくと、近隣とのトラブルや冬の火災を防ぎやすくなります。

    伝えること 具体的に決めておくこと
    ごみの出し方 寮の地区の分別区分と収集日、出す場所と時間、粗大ごみの申込み方法。年末年始の収集日程は、12月に入ったら自治体の案内で確かめて伝え直す
    近隣とのルール 夜間の話し声や音楽、来客、自転車を置く場所、喫煙できる場所
    火の元と暖房 ストーブの周りに燃えやすいものを置かない、こんろを使うときは火のそばを離れない、寝たばこをしない、消火器の場所と使い方
    緊急時の連絡 110番・119番のかけ方と伝える住所、会社の担当者の連絡先、避難場所と経路
    住所が変わるとき 新しい住居地に移った日から14日以内に、在留カードを持って市区町村の窓口で届け出る

    これからの季節は暖房器具を使い始めます。消防庁の「住宅防火 いのちを守る10のポイント」も、4つの習慣として、寝たばこは絶対にしない・させない、ストーブの周りに燃えやすいものを置かない、こんろを使うときは火のそばを離れない、コンセントはほこりを清掃し不必要なプラグは抜く、を挙げています。「部屋干しの洗濯物をストーブの上や近くに掛けない」のように、寮の暮らしの場面に置き換えて説明すると伝わりやすくなります。

    口頭の説明だけでは忘れてしまうので、ごみの分け方、寮のルール、緊急連絡先は、母国語と日本語を並べて寮の目につく場所に掲示しておくと安心です。生活オリエンテーション全体の時間配分は、生活オリエンテーション「8時間以上」の進め方のモデル進行表を参考にしてください。

    住居の準備チェックリスト

    • □ 住居確保の方法(本人の部屋探しの補助・借上げ社宅・自社所有の社宅)を、本人の希望を聞いて決めた
    • □ 居室の面積を図面の㎡で確認し、1人あたり7.5㎡以上ある(ロフトは除く。ルームシェアは合計÷人数)
    • □ 日本人社員と同等の住居・広さになっている
    • □ 居住費は、借上げ費用(管理費・共益費を含む)÷入居人数以内、または自社所有物件の合理的な額で、計算の根拠を残した
    • □ 借上げ社宅の敷金・礼金・仲介手数料・更新手数料などを本人に負担させていない
    • □ 水道光熱費は実費÷同居人数以内、備品代・保険料は実費の範囲で本人と合意した
    • □ 雇用条件書に控除の名目と額を書き、賃金控除の労使協定を結んだ
    • □ 支援計画書の住居の欄(広さ・居住費・物件の種類・適正な額の説明)を記入した
    • □ 事前ガイダンスで、住居の広さと本人の負担額を説明した
    • □ 寮が事業附属寄宿舎に当たる場合、寄宿舎規則を作成・届出し、入寮時に本人に示した
    • □ 入居の日に、ごみ・近隣のルール・火の元・緊急連絡先を母国語で伝え、寮に掲示した
    • □ 管理簿に、住居の住所・形態・家賃などを記録した

    よくある質問

    借上げ社宅の家賃は、いくらまで本人から徴収できますか?
    借上げに要する費用(管理費・共益費を含む)を、入居する特定技能外国人の人数で割った額が上限です。たとえば管理費・共益費込みで月9万円の部屋に3人で住むなら、1人月3万円以内です。敷金・礼金・保証金・仲介手数料・更新手数料・途中解約金などはこの費用に含まれず、本人に負担させることはできません。
    「4.5畳」の個室なら、7.5㎡の基準を満たしますか?
    表示だけでは判断できません。不動産広告の畳数は畳1枚あたり1.62㎡以上という意味で使うルールなので、4.5畳は7.29㎡以上というだけです。図面や契約書に書かれた面積(㎡)で7.5㎡以上あるかを確認してください。ロフトは居室の面積に含まれません。
    水道光熱費を毎月定額で徴収してもよいですか?
    水道・光熱費は、実際に要した費用を同居している人(会社やその家族を含む)の人数で割った額以内でなければなりません。定額にする場合も、この範囲に収まっていることを検針票や請求書で確かめられるようにしておきましょう。給与から差し引くなら、雇用条件書に名目と額を書き、賃金控除の労使協定も必要です。
    本人がアパートを借りるとき、会社は連帯保証人にならなければいけませんか?
    連帯保証人が必要で、ほかに適当な人がいない場合は、会社が連帯保証人になるか、利用できる家賃債務保証業者を確保して会社が緊急連絡先になるか、少なくともどちらかの支援が必要です。家賃債務保証業者を使う場合、保証料は会社が負担します。敷金・礼金は本人の負担が原則ですが、会社が負担することもできます。
    寮のルールで、外出や外泊を会社の許可制にしてもよいですか?
    寮が労働基準法の事業附属寄宿舎に当たる場合、外出・外泊について使用者の承認を受けさせることは、事業附属寄宿舎規程第4条で私生活の自由を侵す行為とされ、禁止されています。寄宿舎に当たらない住居でも、携帯電話を取り上げて外部との連絡を断つことなどは、運用要領本体が不正行為の例として挙げています。寄宿舎に当たる寮では、起床・就寝・外出・外泊などのルールは寄宿舎規則として寄宿する労働者の過半数代表者の同意を得て定め、労働基準監督署に届け出ましょう。
    入社後に本人が引っ越したいと言ったら、また住居探しを手伝う必要がありますか?
    受入れ後の転居でも、住居確保の支援は必要です。ただし、通勤が難しくなる配置換えなどの特段の事情がないのに、本人の都合で転居する場合は除かれます。引っ越したら、新しい住居地に移った日から14日以内に、在留カードを持って市区町村の窓口で届け出るよう案内しましょう。

    まとめ

    特定技能外国人の住居は、確保の方法(本人の部屋探しの補助・借上げ社宅・自社所有の社宅)を本人の希望に基づいて選び、居室を1人あたり7.5㎡以上(ロフトを除く)にするのが基本です。社宅の居住費は借上げ費用を入居人数で割った額まで、水道光熱費は実費を同居人数で割った額までで、借上げ社宅の敷金・礼金・仲介手数料などは本人に負担させられません。給与から差し引くなら雇用条件書と労使協定、支援計画書の住居の欄、事前ガイダンスでの説明、管理簿への記録までそろえておけば、住居の支援を適切に行ったことを書類で示せます。寮のルールは私生活の自由を侵さない内容にし、入居の日に母国語で伝えて、目につく場所に掲示しておきましょう。

    オリエンキットの多言語ポスターパックは、ごみの分け方、寮のルール(夜間の静粛・来客・喫煙・火の元と施錠など10か条)、緊急連絡先、災害のときの行動の4種を、母国語と日本語を併記したA4ポスターのPDFにしたものです(ベトナム語・インドネシア語・ネパール語・ミャンマー語・英語・タガログ語)。収集日や担当者名、避難所は書き込み欄になっていて、6言語セットは4,980円、1言語は2,980円。収集日・担当者・避難所・自治体の分別区分を印字して納品する自社版カスタムは9,800円です。→ 詳細と無料サンプル
    オリエンキットの事前ガイダンス・キットは、御社の雇用条件書の内容を母国語・日本語併記の説明資料にし、3時間の進行表、理解度テスト、会社名入りの確認書(参考様式第5-9号対応)をセットにしてお届けします(6言語対応・1言語29,800円)。「住居と支援」の章には御社の寮の条件・負担額・担当者を入れ、住居の広さや本人の負担額、支給品、相談体制を母国語で説明できる形にします。生活オリエンテーションとのセット(事前ガイダンス+生活オリエン・1言語)は59,800円です。→ 詳細とサンプル

    出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領 -1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(令和7年4月1日一部改正)、同「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月20日一部改正)、同「特定技能関係の申請・届出様式一覧」(参考様式第1-6号 雇用条件書、第1-17号 1号特定技能外国人支援計画書の記載例)、同「住居地の変更届出(中長期在留者)」、特定技能基準省令第1条・第3条、上陸基準省令、労働基準法第24条・第94条・第95条、事業附属寄宿舎規程第1条の2〜第4条、建設業附属寄宿舎規程第5条、建築基準法第2条、福井労働局「届出方法について(寄宿舎)」(事業附属寄宿舎の範囲:昭和23年3月30日付け基発508号)、国土交通省「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」、不動産公正取引協議会連合会「不動産の表示に関する公正競争規約施行規則」、消防庁「住宅防火 いのちを守る10のポイント」。記事の内容は2026年10月3日時点の公開情報に基づく一般的な解説です。個別の案件は、地方出入国在留管理局、労働基準監督署、行政書士・社会保険労務士などの専門家にご確認ください。

  • 技能実習から特定技能へ|事前ガイダンス・生活オリエンは必要?

    技能実習から特定技能へ|事前ガイダンス・生活オリエンは必要?

    自社の技能実習生を特定技能1号に切り替える。別の会社で働いていた特定技能の人を採用する。日本にすでに住んでいる外国人を受け入れるときは、空港の出迎えも新しい住まい探しもいらないことが多く、事前ガイダンスや生活オリエンテーションまで「もう知っている内容だから」と短く済ませたくなります。

    しかし出入国在留管理庁の運用要領は、移行でも転職でも、この2つの実施を求めています。しかも、同じ会社で引き続き雇う場合でも、事前ガイダンスは1時間、生活オリエンテーションは4時間に満たなければ適切に行ったとはいえない、と時間の下限まで示しています。この記事では、運用要領(支援に関する別冊は令和7年4月1日一部改正、本体は令和8年8月20日一部改正)にそって、国内からの受入れで省略できない支援・省略してよい支援と、あわせて必要になる安全衛生教育と届出を整理します。

    この記事の要点

    • 義務的支援は原則すべて実施。省略できるのは、技能実習2号等から変更した場合などで「客観的状況に照らして明らかに不要な支援」だけです(同じ住居に住み続ける場合の住居確保、口座開設済みの場合の契約支援など)。すでに日本にいる人は、入国時の空港送迎の対象外です。
    • 事前ガイダンス:在留資格変更の申請前に、対面またはビデオ通話で。目安は3時間程度。同じ会社で引き続き雇う場合でも1時間未満は不適切。転職者にも再実施。
    • 生活オリエンテーション:変更許可の後、遅滞なく。目安は少なくとも8時間以上。同じ会社で生活環境が変わらない場合でも4時間未満は不適切。転職者にも再実施。
    • 他社から雇い入れる人:雇入れ時の安全衛生教育(労働安全衛生規則第35条)と、ハローワークへの外国人雇用状況の届出も必要です。
    • 転職者:在留資格変更の許可を受ける(新しい在留カードを受け取る)までは、新しい会社で働けません。

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    国内からの受入れは主に4つのパターン

    国内に住んでいる人を特定技能1号で受け入れるケースは、おおむね次の4つです。どのケースも在留資格の変更、または指定書に記載された所属機関の変更を伴うため在留資格変更許可申請が必要で、その申請前に事前ガイダンス、許可後に生活オリエンテーションを行う流れは共通です。違いが出るのは、時間の目安と、省略してよい支援の範囲です。

    パターン よくある例 事前ガイダンス・生活オリエンテーションの時間
    A 同じ会社で引き続き雇う 自社で技能実習を修了する人、自社でアルバイトをしていた留学生 目安は3時間程度・8時間以上。短く終わる場合でも、事前ガイダンス1時間・生活オリエンテーション4時間(生活環境に変化がない場合)が最低ライン
    B 他社で技能実習を修了した人 実習先とは別の会社で、特定技能として働く 原則どおり(3時間程度・8時間以上)
    C 他社から転職してくる特定技能1号の人 同じ分野の別の会社から移ってくる 原則どおり。前の会社で受けていても再実施
    D 他の在留資格から変更する人 自社で働いていなかった留学生など 原則どおり

    なお、技能実習2号を良好に修了した人は、従事する業務と技能実習の職種・作業に関連性があれば技能試験が免除され、日本語試験も原則として免除されます(介護分野の介護日本語評価試験や、タクシー・バスの運転者、鉄道の運輸係員などは例外)。ただし、試験が免除されても、支援は免除されません。

    支援10項目は「明らかに不要」なものだけ省略できる

    運用要領は、義務的支援はその全てを行う必要があるとしたうえで、技能実習2号等から特定技能1号に在留資格を変更した場合などで、客観的状況に照らして明らかに不要な支援は除く、としています。国内からの受入れで各項目がどう扱われるかを、運用要領の記載にそってまとめました。

    支援(支援計画の10項目) 国内からの受入れでの扱い ポイント
    ① 事前ガイダンス 省略できない 在留資格変更の申請前に実施。同じ会社で引き続き雇う場合も1時間未満は不適切。転職でも再実施
    ② 出入国する際の送迎 入国時は対象外 技能実習2号等から変更して既に日本にいる人は、入国時の送迎の対象外。送迎しない場合も、交通手段と緊急時の連絡手段を伝えておくことが望まれる。出国する際の送迎は、これとは別に求められる
    ③ 住宅確保・生活に必要な契約支援 明らかに不要なら省略できる 今の住居に住み続ける、口座開設済みなどの場合。住居から退去せざるを得なくなったら、新たな住居確保の支援が必要
    ④ 生活オリエンテーション 省略できない 変更許可の後、遅滞なく実施。生活環境に変化がない場合でも4時間未満は不適切。転職でも再実施
    ⑤ 公的手続等への同行 必要に応じて実施 転居したときの住居地の届出など、届出・手続の窓口への同行や書類作成の補助
    ⑥ 日本語学習の機会の提供 実施 本人の希望に基づき、日本語教室・教材・オンライン講座の情報提供や手続の補助など
    ⑦ 相談・苦情への対応 実施 勤務日に週3日以上、休日に1日以上対応できる体制。新しい窓口と担当者を本人に伝え直す
    ⑧ 日本人との交流促進 実施 地域の行事や交流の場の案内、参加手続の補助
    ⑨ 転職支援 該当するときのみ 会社の都合で特定技能雇用契約を解除する場合に必要
    ⑩ 定期的な面談・行政機関への通報 実施 本人と監督者それぞれと3か月に1回以上。受入れ後初めての面談は対面が望ましい

    省略してよいのは③のように「客観的に見て明らかに不要」なものに限られ、①と④は、同じ会社で続けて雇う場合でも省略できません。登録支援機関に支援を委託している場合も同じです。委託先や担当者が変わるときは、相談窓口と面談の担当者を本人に伝え直しましょう。

    住居の広さにも注意が必要です。居室は原則として1人あたり7.5㎡以上が求められますが、技能実習2号等から変更する人が、会社がすでに確保している社宅等に住むことを希望する場合は、この基準から除かれます。その場合でも、寝室は1人あたり4.5㎡以上が必要です。

    事前ガイダンス|在留資格変更の「申請前」に、同じ会社でも1時間以上

    事前ガイダンスは、在留資格認定証明書の交付申請前、すでに日本に在留している人の場合は在留資格の変更の申請前に行う義務的支援です(特定技能基準省令第3条第1項第1号イ)。労働条件など契約前に知っておくべき情報が含まれるため、特定技能雇用契約の締結時以前に行うことが望まれるとされています。方法は対面、またはテレビ電話装置・インターネットのビデオ通話などで、本人であることを確認したうえで行います。文書の郵送や電子メールの送信だけでは認められず、本人が十分に理解できる言語で実施する必要があります。

    国内にいる人に、具体的に伝えること

    説明すべき事項は海外から来る人と同じですが、国内にいる人には次の点を具体的に伝えます。

    • 手続きの流れ:在留資格変更許可申請を行い、新しい就労先を所属機関とする変更許可を受ける(在留カードを受け取る)までは、新しい就労先で働けないこと。
    • 労働条件:従事させる業務の内容、報酬の額、そのほか雇用条件書に書いた事項。同じ会社で続けて働く人には、技能実習のときから何が変わるのかを、雇用条件書にそって確かめながら説明します。
    • 保証金・違約金と費用:本人や家族が保証金を取られていないこと、違約金の契約を結んでいないこと、外国の機関に費用を払っている場合は、その額と内訳を理解して合意していること。
    • 支援の内容:住居(社宅なら広さと家賃など本人の負担額)、相談・苦情を受ける体制(曜日・時間帯・方法)、支援担当者の氏名と連絡先。支援にかかる費用を、直接にも間接にも本人に負担させないこと。

    時間:目安3時間、同じ会社でも1時間未満は不適切

    運用要領は、事前ガイダンスは本人が十分に理解できるまで行う必要があり、3時間程度行うことが必要と考えられるとしています。技能実習生などを同じ会社で引き続き特定技能外国人として雇う場合でも、業務の内容や報酬の額などを十分に理解させる必要があります。予定より短時間で終わることは想定されていますが、1時間に満たない場合は適切に行ったとはいえません。転職などで別の特定技能所属機関に変わる場合も、事前ガイダンスを実施する必要があります。

    確認書(参考様式第5-9号)に署名をもらって保存する

    実施したら、事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)を本人に示して確認のうえ、署名を得ます。運用要領本体は、支援の状況に係る文書(支援の実施に関する管理簿)に実施担当者(通訳人を含む)、実施日時と場所、実施内容、実施方法を記載し、確認書を保存するよう求めています。この文書は、特定技能雇用契約の終了の日から1年以上、支援を行う事業所に備えて置く必要があります(特定技能基準省令第2条第2項第3号)。出入国在留管理庁のサイトには、確認書の英語と9か国語(ベトナム語・タガログ語・インドネシア語・タイ語・ミャンマー語・カンボジア語・モンゴル語・ネパール語・中国語)の翻訳様式もあります。

    生活オリエンテーション|生活環境が同じでも4時間、他社から来る人は8時間で計画

    生活オリエンテーションは、在留資格の変更許可を受けた後、遅滞なく行います(特定技能基準省令第3条第1項第1号ニ)。運用要領が示す目安は少なくとも8時間以上です。技能実習2号良好修了者や留学生などを同じ会社で引き続き雇う場合でも、相談・苦情の対応者の連絡先、緊急時の対応に必要な事項、法的保護に必要な事項などを十分に理解させる必要があり、生活環境に変化がない場合でも4時間に満たないときは適切に行ったとはいえないとされています。転職などで別の特定技能所属機関に移った人にも、改めて実施が必要です。

    同じ会社で続けて雇う場合の「4時間」の組み方(例)

    通勤経路も寮も変わらない人なら、説明済みの生活情報は確認にとどめ、特定技能になって変わること、変わらないけれど命や権利に関わることに時間を使います。

    コマ 内容 ポイント
    1(60分) 相談・苦情の申出先 特定技能での支援担当者(委託している場合は登録支援機関の担当者)の氏名・電話・メールと受付時間。地方出入国在留管理局、労働基準監督署、ハローワーク、法務局、警察署、市区町村、法テラス、大使館の連絡先
    2(60分) 届出・手続、社会保険と税 今後、会社との契約が終わったときや新しい会社と契約したときは14日以内に届け出ること。住居地の届出。保険料や税の未納があると在留諸申請が不許可になる場合があること。住民税のしくみ
    3(60分) 防災・防犯・緊急時、医療機関 110番・119番・118番の使い方、災害時の避難場所、緊急速報メール、火災の予防、外国人患者の受入れ体制がある病院
    4(60分) 法的保護、振り返り 入管法令・労働関係法令の違反を知ったときの相談先と連絡方法、年金と脱退一時金。確認テスト、質疑応答、確認書(参考様式第5-8号)に署名

    4時間はあくまで下限です。特定技能では支援担当者が相談・苦情の窓口になるので、担当者の名前と連絡方法は、本人が自分のスマホに登録するところまで確認しておくと確実です。

    他社から来る人は、原則どおり8時間以上で

    他社の技能実習修了者や転職者は、通勤経路、ごみの出し方と収集日、近くの病院、避難場所など、生活環境そのものが変わることがほとんどです。運用要領が4時間の下限を示しているのは同じ会社で引き続き雇う場合なので、他社から来る人は原則どおり8時間以上で計画しましょう。2日×4時間に分けたモデル進行表は、生活オリエンテーション「8時間以上」の進め方で紹介しています。

    理解を確かめ、確認書(参考様式第5-8号)を残す

    実施したら、生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)を本人に示して確認のうえ、署名を得て記録しておきます。「前に聞いたはず」の人ほど、理解したことを記録で示せるようにしておくと安心です。オリエンキットの無料の理解度テスト(7言語・14問、12問以上の正解で合格)はスマホで受けられ、合格すると確認書に添える修了証を作成できます(修了証の発行には発行キーが必要です)。

    他社から来る人には「雇入れ時の安全衛生教育」も

    労働安全衛生規則第35条は、労働者を雇い入れたとき、または作業内容を変更したときに、遅滞なく安全衛生教育を行うよう事業者に義務づけています。他社の技能実習修了者や転職者を受け入れるのは雇入れなので、次の8項目のうち、その人が従事する業務に必要な事項の教育が必要です。

    号 教育の項目(安衛則第35条第1項)
    1 機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法に関すること
    2 安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及びこれらの取扱い方法に関すること
    3 作業手順に関すること
    4 作業開始時の点検に関すること
    5 当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防に関すること
    6 整理、整頓及び清潔の保持に関すること
    7 事故時等における応急措置及び退避に関すること
    8 前各号に掲げるもののほか、当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項

    同条第2項は、十分な知識と技能を有していると認められる事項については、教育を省略できるとしています。ただ、機械や原材料、作業手順、点検の項目は職場ごとに違います。同じ分野の経験者でも、その職場の機械や手順を知っているとは限らないので、省略するかどうかは事項ごとに慎重に判断しましょう。

    同じ会社で引き続き雇う人も、特定技能への切り替えにあわせて担当する作業や機械が変わるなら、作業内容を変更したときの教育が必要です。厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」は、外国人労働者への安全衛生教育を、母国語や視聴覚教材を用いるなど本人が内容を理解できる方法で行い、特に機械等や原材料等の危険性・有害性と取扱方法が確実に理解されるよう留意することを求めています。8項目の具体例と記録の残し方は、外国人労働者の雇入れ時安全衛生教育にまとめています。

    転職者・他社から来る人の受入れの流れと届出

    1. 事前ガイダンス:在留資格変更の申請前に実施し、確認書(参考様式第5-9号)に署名をもらう。
    2. 在留資格変更許可申請:申請中は、新しい就労先で働けない。
    3. 許可・新しい在留カードの受け取り:ここから新しい会社での就労が始まる。
    4. 生活オリエンテーションと雇入れ時の安全衛生教育:遅滞なく実施し、確認書(参考様式第5-8号)と教育の記録を残す。
    5. 届出:本人の所属機関に関する届出、ハローワークへの外国人雇用状況の届出、転居した場合は住居地の届出。
    6. 定期的な面談:本人と監督者それぞれと、3か月に1回以上。
    申請中は新しい会社で働けません。運用要領本体は、転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合は在留資格変更許可を受けなければならず、申請中は変更予定の就労先での就労活動は認められない、としています。入社日は許可の見込みを踏まえて決め、事前ガイダンスでも本人に説明しておきましょう。

    受入れのときに確認したい届出

    • 本人:所属(契約)機関に関する届出…前の会社との契約が終了したとき、新しい会社と契約を結んだときは、それぞれ14日以内に出入国在留管理庁へ届け出ます(入管法第19条の16第2号)。電子届出システムも使えます。生活オリエンテーションで説明し、必要に応じて手続を補助しましょう。
    • 前の会社:契約終了の届出…特定技能雇用契約が終了したときは、特定技能所属機関が終了日から14日以内に届け出ます。
    • 新しい会社:外国人雇用状況の届出…外国人を雇い入れたときは、ハローワークへの届出が必要です。雇用保険の被保険者になる人は、雇用保険被保険者資格取得届(雇い入れの翌月10日まで)を出すことで届出をしたことになります。届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりすると、30万円以下の罰金の対象です。
    • 本人:住居地の変更届出…引っ越した場合は、新しい住居地に移った日から14日以内に、在留カードを持って市区町村の窓口へ。

    在留資格の変更・更新の手数料は、2026年10月1日以後の申請から、許可される在留期間に応じた額に変わりました(9月30日までに受け付けた申請は改定前の額)。金額の一覧は2026年10月から変わることをご覧ください。

    移行・転職の受入れチェックリスト

    • □ 雇用条件書の内容を、本人が十分に理解できる言語の資料にした
    • □ 在留資格変更の申請前に、対面かビデオ通話で事前ガイダンスを行った(目安3時間、同じ会社でも1時間以上)
    • □ 事前ガイダンスの確認書(参考様式第5-9号)に本人の署名をもらい、実施の記録と一緒に保存した
    • □ 転職者には、変更許可(新しい在留カードの受け取り)まで新しい業務に就かせていない
    • □ 許可の後、遅滞なく生活オリエンテーションを行った(目安8時間以上、同じ会社で生活環境が同じでも4時間以上)
    • □ 生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)に本人の署名をもらい、保存した
    • □ 他社から来た人に雇入れ時の安全衛生教育を行い、作業が変わる人には作業内容変更時の教育を行って、記録を残した
    • □ 新しい相談窓口・支援担当者の連絡先を本人に伝えた
    • □ 本人の所属機関に関する届出(14日以内)と、転居した場合の住居地の届出を案内した
    • □ 他社から雇い入れた人について、ハローワークへの外国人雇用状況の届出をした
    • □ 定期的な面談(3か月に1回以上)の予定を入れた

    よくある質問

    自社の技能実習生には、実習中に同じことを説明しています。事前ガイダンスは省略できますか?
    省略できません。運用要領は、技能実習生などを同じ会社で引き続き特定技能外国人として雇う場合でも、従事させる業務の内容や報酬の額などの労働条件を十分に理解させる必要があるとし、1時間に満たない場合は事前ガイダンスを適切に行ったとはいえないとしています。在留資格変更の申請前に行い、確認書(参考様式第5-9号)に署名をもらいましょう。
    生活オリエンテーションは4時間で終えてもよいのですか?
    4時間は下限です。運用要領の目安は少なくとも8時間以上で、技能実習2号良好修了者や留学生などを同じ会社で引き続き雇い、生活環境に変化がない場合でも、4時間に満たなければ適切に行ったとはいえないとされています。転居を伴う人や他社から来る人は、8時間以上で計画するのが安全です。
    転職してきた人は、前の会社で事前ガイダンスと生活オリエンテーションを受けています。省略できますか?
    できません。運用要領は、転職などに伴い別の特定技能所属機関に変わった場合も、事前ガイダンスと生活オリエンテーションを実施する必要があるとしています。支援担当者の連絡先、労働条件、通勤経路、地域のごみ・病院・避難場所などは会社や住む場所で変わるので、資料も新しい会社に合わせて用意しましょう。
    在留資格変更の申請中に、新しい会社で働いてもらうことはできますか?
    できません。運用要領本体は、転職により指定書に記載された特定技能所属機関を変更する場合は在留資格変更許可を受けなければならず、申請中は変更予定の就労先での就労活動は認められないとしています。この点は事前ガイダンスで説明すべき事項にも含まれています。
    技能実習のときの社宅に、そのまま住んでもらえますか?
    技能実習2号等から特定技能1号に変更する人がすでに住居を確保していて、そこに住み続ける場合など、住居確保の支援が明らかに不要なら実施しなくて差し支えないとされています。居室は原則1人あたり7.5㎡以上ですが、技能実習2号等から変更する人が、会社がすでに確保している社宅等に住むことを希望する場合はこの基準から除かれます。その場合でも、寝室は1人あたり4.5㎡以上が必要です。
    自社の技能実習生を特定技能に切り替えるとき、安全衛生教育はやり直しですか?
    労働安全衛生規則第35条の教育は、雇い入れたときと作業内容を変更したときに必要です。切り替えにあわせて担当する作業や使う機械が変わるなら、作業内容変更時の教育を行い、記録を残しましょう。他社から雇い入れる人には、雇入れ時の教育が必要です。

    まとめ

    国内に住んでいる人の受入れでは、入国時の送迎がいらないなど省ける支援もありますが、事前ガイダンスと生活オリエンテーションは、移行でも転職でも省略できません。同じ会社で引き続き雇う場合でも、事前ガイダンスは1時間以上(目安3時間程度)、生活オリエンテーションは4時間以上(目安8時間以上)が最低ラインで、他社から来る人には雇入れ時の安全衛生教育と届出も加わります。在留資格変更の申請前に事前ガイダンス、許可の後に生活オリエンテーションと安全衛生教育。この順番で実施し、確認書と記録をそろえておけば、支援を適切に行ったことを書類で示せます。

    オリエンキットの事前ガイダンス・キットは、御社の雇用条件書の内容を母国語・日本語併記の説明資料にし、3時間の進行表、理解度テスト、会社名入りの確認書(参考様式第5-9号対応)をセットにしてお届けします(1言語29,800円・6言語)。資料の「入国の手続き」の章は、すでに日本にいる人の変更手続にも対応しています。生活オリエンテーションとのセット(事前ガイダンス+生活オリエン・1言語)は59,800円です。→ 詳細とサンプル
    オリエンキットの安全衛生教育テキストは、御社の機械・化学物質・作業手順・非常口などをもとに、安衛則第35条の8項目を母国語・日本語併記のテキストにし、確認テストと実施記録をセットで納品します(1言語39,800円)。他社から受け入れる人の入社前・入社後・初日の教育を1言語でそろえる3点セット(事前ガイダンス+生活オリエン+安全衛生)は89,800円です。→ 詳細とサンプル

    出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領 -1号特定技能外国人支援計画の基準について-」(令和7年4月1日一部改正)、同「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月20日一部改正)、同「特定技能関係の申請・届出様式一覧」「所属(契約)機関に関する届出」「住居地の変更届出(中長期在留者)」「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」、特定技能基準省令第2条・第3条、労働安全衛生規則第35条、厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」「外国人雇用状況の届出について」。記事の内容は2026年10月1日時点の公開情報に基づく一般的な解説です。個別の案件は、地方出入国在留管理局や行政書士などの専門家にご確認ください。

  • 2026年10月から変わること|外国人を雇う会社のチェックリスト

    2026年10月から変わること|外国人を雇う会社のチェックリスト

    2026年10月は、外国人スタッフの給料・在留手続き・職場のルールに関わる変更が重なります。最低賃金の改定、在留手続きの手数料の大幅な引上げ、カスハラ対策の義務化、パート・アルバイトの社会保険の加入条件の変更です。この記事では4つの変更と、会社が今月やることを一次資料にそって整理します。社員に配れる多言語版(日本語+7言語)は「今月のルール変更」10月号から無料でダウンロードできます。

    1. 最低賃金の改定(10月1日〜12月2日に順次発効)

    2026年度の地域別最低賃金は、全国加重平均で1,177円(前年度1,121円から56円の引上げ)です。最高は東京の1,280円、最低は宮崎の1,085円で、発効日は都道府県ごとに10月1日から12月2日までと違います。

    • 最低賃金は、国籍や在留資格に関係なく、技能実習生や特定技能の人にも同じように適用されます。
    • 月給制の人は、月給(精皆勤手当・通勤手当・家族手当、時間外などの割増賃金、賞与などを除く)を1か月平均所定労働時間で割って確かめます。
    • 給与の締め日の途中で変わる場合は、発効日以降に働いた分から新しい額以上で計算します。
    • 特定技能の人の賃金を最低賃金に合わせて上げるなど、本人に有利な変更だけであれば、特定技能雇用契約の変更の届出は不要です(出入国在留管理庁)。変更後の雇用条件書は事業所で保管しておきます。
    都道府県新しい最低賃金(時給)引上げ額発効日(予定)
    北海道1,131円+56円10月1日
    青森県1,090円+61円10月29日
    岩手県1,090円+59円12月1日
    宮城県1,098円+60円10月1日
    秋田県1,090円+59円10月14日
    山形県1,092円+60円10月30日
    福島県1,094円+61円10月16日
    茨城県1,136円+62円10月18日
    栃木県1,125円+57円10月1日
    群馬県1,120円+57円10月3日
    埼玉県1,196円+55円10月1日
    千葉県1,195円+55円10月1日
    東京都1,280円+54円10月1日
    神奈川県1,279円+54円10月1日
    新潟県1,108円+58円10月1日
    富山県1,119円+57円10月1日
    石川県1,113円+59円10月3日
    福井県1,112円+59円10月4日
    山梨県1,113円+61円11月1日
    長野県1,117円+56円10月2日
    岐阜県1,121円+56円10月1日
    静岡県1,154円+57円10月15日
    愛知県1,195円+55円10月1日
    三重県1,143円+56円10月1日
    滋賀県1,136円+56円10月3日
    京都府1,180円+58円11月16日
    大阪府1,231円+54円10月1日
    兵庫県1,172円+56円10月1日
    奈良県1,107円+56円10月4日
    和歌山県1,101円+56円10月3日
    鳥取県1,090円+60円10月3日
    島根県1,092円+59円10月10日
    岡山県1,104円+57円10月2日
    広島県1,141円+56円10月11日
    山口県1,101円+58円10月8日
    徳島県1,103円+57円11月1日
    香川県1,092円+56円10月1日
    愛媛県1,093円+60円11月1日
    高知県1,086円+63円10月29日
    福岡県1,114円+57円10月4日
    佐賀県1,095円+65円11月15日
    長崎県1,087円+56円11月2日
    熊本県1,092円+58円12月1日
    大分県1,096円+61円11月1日
    宮崎県1,085円+62円10月24日
    鹿児島県1,090円+64円10月25日
    沖縄県1,086円+63円12月2日

    出典:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)、「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」。

    2. 在留手続きの手数料の改定(10月1日〜)

    在留資格の変更と在留期間の更新の手数料が、許可される在留期間に応じた額に変わりました。これまでは窓口6,000円・オンライン5,500円でした。

    許可される在留期間窓口オンライン
    3か月以下10,000円10,000円
    3か月をこえて6か月まで18,000円15,000円
    6か月をこえて1年未満25,000円21,000円
    1年33,000円27,000円
    1年をこえて3年未満48,000円42,000円
    3年以上5年未満64,000円56,000円
    5年以上75,000円65,000円
    永住許可(窓口)200,000円—
    • 9月30日までに受け付けた申請は、許可が10月以降でも改定前の額です。
    • 10月1日以降のオンライン申請は、審査が終わると「@service-dgft.com」から決済の案内メールが届き、コンビニ決済か銀行決済で支払います(決済手数料330円または550円が別にかかります。収入印紙は使えません)。
    • 手数料は申請する本人が納めるものですが、会社が負担することもできます。どちらにするかを決め、在留期限が近い人に早めに伝えておきましょう。

    3. カスハラ対策・求職者等へのセクハラ防止が義務に(10月1日〜)

    すべての事業主に、カスタマーハラスメント対策(方針の明確化と周知、相談体制の整備、事後の迅速・適切な対応、抑止のための措置、プライバシー保護と不利益取扱いの禁止)が義務づけられました。就職活動中の学生など、求職者等に対するセクハラの防止措置も義務になりました。外国人スタッフへの周知の方法はカスハラ対策と外国人スタッフ(解説記事)にまとめています。

    4. パート・アルバイトの社会保険:「月8.8万円以上」の要件がなくなる(10月〜)

    短時間労働者の健康保険・厚生年金の加入要件のうち、所定内賃金が月8.8万円以上という賃金要件が、2026年10月に撤廃されます(日本年金機構)。厚生年金の被保険者が51人以上の企業等(特定適用事業所)で、週の所定労働時間が20時間以上、2か月を超えて使用される見込みがあり、学生でない人は加入の対象です。2027年10月からは、被保険者36人以上の企業等も対象になります。外国籍のパート・アルバイトの人にも、手取りの変化と、病気のときの給付や年金などを説明しておきましょう。

    今月やることチェックリスト

    • □ 発効日以降の給与で、最低賃金を下回る人がいないか確かめた(月給は時間あたりに直して)
    • □ 在留期限が近い人に、手数料の変更と申請の段取りを伝えた
    • □ カスハラの方針と相談窓口を、外国人スタッフにも母国語で知らせた
    • □ 週20時間以上のパート・アルバイトの社会保険の加入を確かめた
    • □ 変更点を、社員向けの多言語版で配った・掲示した

    社員に配れる多言語版(無料)

    ここまでの内容を外国人スタッフ向けにまとめた「今月のルール変更」2026年10月号を無料で公開しています。日本語・英語・ベトナム語・インドネシア語・タガログ語・ネパール語・ミャンマー語・中国語の社員向け(A4・2ページ、すべての文に日本語つき)と、管理者向けの対応メモ(47都道府県の最低賃金一覧・チェックリスト・よくある質問)のセットです。

    よくある質問

    Q. 在留手続きの手数料は、申請した在留期間で決まりますか?
    許可される在留期間で決まります。同じ更新の申請でも、1年の許可なら窓口33,000円、3年の許可なら64,000円です。

    Q. 試用期間中の人も最低賃金の対象ですか?
    対象です。試用期間中の人は、都道府県労働局長の許可を受けた場合に限り、最長6か月・20%までの減額(減額の特例)ができます。社内研修中というだけでは減額できません。

    Q. 外国人スタッフが労働条件について相談できる窓口は?
    厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」(無料、言語ごとに番号と曜日が違います)と、平日昼の「外国人労働者向け相談ダイヤル」があります。言語別の番号一覧をご覧ください。

    出典:厚生労働省「全ての都道府県で地域別最低賃金の改定額が答申されました」(2026年9月3日)・「令和8年度 地域別最低賃金 答申状況」、出入国在留管理庁「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」「オンライン申請における手数料額及び手数料納付方法について」「特定技能雇用契約の変更届出が不要となる場合の取扱いについて」、日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大」、厚生労働省・都道府県労働局「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます」。記事の内容は2026年9月26日時点の公開情報に基づきます。個別の判断は、労働基準監督署・都道府県労働局・地方出入国在留管理局・年金事務所または専門家にご確認ください。

  • カスハラ対策の義務化(2026年10月1日)|外国人スタッフへの周知は母国語で — 5つの措置とチェックリスト

    カスハラ対策の義務化(2026年10月1日)|外国人スタッフへの周知は母国語で — 5つの措置とチェックリスト

    2026年10月1日から、改正労働施策総合推進法により、すべての事業主にカスタマーハラスメント(カスハラ)対策が義務づけられます。外国人スタッフが働く店舗・ホテル・介護施設・工場で見落としやすいのが、方針や相談窓口を「どの言語で」伝えるかです。この記事では、義務になる5つの措置、カスハラの定義と例、外国人スタッフの職場で起きやすいことと対策を、チェックリストとあわせて整理します。

    何が義務になるのか:事業主が講ずべき5つの措置

    厚生労働省の指針では、事業主が講ずべき措置として次の5つが示されています。労働者を1人でも雇っていれば対象で、規模による例外はありません。対応しない場合は、報告の求め・助言・指導・勧告の対象となり、勧告に従わないと公表されることがあります。

    措置具体的な内容
    ① 方針の明確化・周知カスハラには毅然と対応し、労働者を保護する方針を明確にして周知・啓発する。カスハラの内容と、あらかじめ定めた対処の内容を周知する
    ② 相談体制の整備相談窓口をあらかじめ定めて周知する。窓口の担当者が適切に対応できるようにする
    ③ 事後の迅速・適切な対応事実関係を迅速かつ正確に確認し、被害者への配慮の措置と再発防止の措置を行う
    ④ 抑止のための措置特に悪質なカスハラへの対処方針をあらかじめ定めて周知し、対処できる体制を整える
    ⑤ 併せて講ずべき措置相談者等のプライバシーを保護する。相談したこと等を理由とする不利益な取扱いをしない旨を定め、周知する

    ①②⑤には、いずれも「労働者に周知する」ことが含まれています。日本語が十分でないスタッフには、日本語の掲示だけでは伝わりません。

    カスハラの定義と例

    職場におけるカスタマーハラスメントとは、①顧客等(顧客、取引の相手方、施設の利用者など)の言動であって、②業務の性質などに照らして社会通念上許容される範囲を超えたものにより、③労働者の就業環境が害されるもの、とされています。電話やSNSなどオンラインでの言動も対象です。

    言動の内容が不相当なもの手段や態様が不相当なもの
    要求に理由がない、または商品・サービスと全く関係のない要求/契約等で想定するサービスを著しく超える要求/対応が著しく困難・不可能な要求/不当な損害賠償の要求身体的な攻撃(暴行、傷害等)/精神的な攻撃(脅迫、中傷、名誉毀損、侮辱、暴言、土下座の強要等)/威圧的な言動/継続的・執拗な言動/拘束的な言動(不退去、居座り、監禁)

    一方で、商品やサービスへの正当な意見・苦情はカスハラではありません。指針も、消費者の権利や、障害のあるお客様への合理的配慮に留意するよう求めています。

    外国人スタッフの職場で起きやすいこと

    • 国籍や言葉を理由にした侮辱:「国へ帰れ」「日本語もできないのか」といった言葉は、典型的な精神的な攻撃です。
    • その場で言い返せない・説明できない:敬語で断る言い方を知らず、長時間つかまったり、要求を受け入れてしまったりします。
    • 相談窓口を知らない・相談しにくい:日本語の掲示だけでは、相談できることも、相談しても不利益がないことも伝わっていません。
    • 事後の聞き取りが難しい:管理者が日本語で事情を聞いても、正確な経緯がつかめないことがあります。

    対策は、①会社の方針と相談窓口を母国語で伝える、②その場で使える日本語の決まり文句を渡しておく、③管理者は母国語の資料を見せながら聞き取り、外部の多言語相談窓口も案内する、の3つです。厚生労働省の「労働条件相談ほっとライン」(無料。平日17:00〜22:00・土日祝9:00〜21:00、言語ごとに番号と曜日が違います。例:英語 0120-531-401、ベトナム語 0120-531-406)と、平日昼の「外国人労働者向け相談ダイヤル」も、スタッフに知らせておきましょう(言語別の番号一覧)。

    外国人スタッフに渡したい「使える日本語」

    日本語ローマ字使う場面
    少々お待ちください。責任者を呼んでまいります。Shōshō omachi kudasai. Sekininsha o yonde mairimasu.一人で対応せず、上司を呼ぶとき
    申し訳ございません。私ではお答えできません。Mōshiwake gozaimasen. Watashi de wa okotae dekimasen.判断できない要求を受けたとき
    やめてください。Yamete kudasai.体をさわられる、撮影されるとき
    警察を呼びます。Keisatsu o yobimasu.暴力・脅迫など身の危険があるとき(けがをしたら119番)

    義務化対応チェックリスト

    • □ カスハラに毅然と対応し、社員を守る方針を決め、社員に知らせた(外国人スタッフには母国語で)
    • □ カスハラの例と、起きたときの対応手順を社員に知らせた
    • □ 相談窓口(担当者・連絡先・受付時間)を決めて知らせた
    • □ 窓口担当者・店長が、事実確認・被害者への配慮・再発防止の手順を理解している
    • □ 特に悪質な相手への対処(退去要求・警察への通報・出入り禁止など)を決めてある
    • □ 相談者のプライバシーを守り、相談を理由に不利益な扱いをしないことを知らせた
    • □ お客様向けに方針を掲示した(多言語だとインバウンド客にも伝わる)

    すぐ配れる「カスハラ対策 多言語パック」

    オリエンキットでは、社員向けチラシ(英語・ベトナム語・インドネシア語・タガログ語・ネパール語・ミャンマー語・中国語+日本語、A4・2ページ)、お客様向け掲示(日・英・中・韓)、管理者用の対応フロー、Wordの基本方針ひな形とチェックリストをまとめたカスハラ対策 多言語パックを用意しています(1言語セット9,800円/全言語セット19,800円)。ベトナム語チラシのサンプルもご覧いただけます。

    よくある質問

    Q. 外国人スタッフが1人だけでも、母国語で伝えるべきですか?
    法律は言語を指定していませんが、「周知」は相手に伝わってこそ意味があります。1人でも日本語が十分でないスタッフがいれば、母国語の資料を渡しておくのが確実です。

    Q. お客様への掲示は義務ですか?
    掲示そのものは必須とはされていませんが、悪質なカスハラの抑止(措置④)に役立ちます。インバウンドのお客様が多い店舗では、英語・中国語・韓国語での掲示が効果的です。

    Q. セクハラやパワハラの対策とは別に必要ですか?
    カスハラの措置は2026年10月1日から新たに加わるものです。すでにあるハラスメント相談窓口をカスハラにも使うことはできますが、その旨を社員に知らせる必要があります。

    出典:厚生労働省「令和8年10月1日からハラスメント対策が強化されます!カスタマーハラスメント対策の義務化【改正労働施策総合推進法・指針の内容】」、同「カスタマーハラスメント対策企業マニュアル」、出入国在留管理庁「困ったときの問合せ先」。記事の内容は2026年9月時点の公開情報に基づきます。個別の判断は、都道府県労働局 雇用環境・均等部(室)や専門家にご相談ください。

  • 特定技能外国人に伝える全国共通の相談窓口一覧【2026年9月版】|番号・時間・対応言語と、地域窓口の添え方

    特定技能外国人に伝える全国共通の相談窓口一覧【2026年9月版】|番号・時間・対応言語と、地域窓口の添え方

    生活オリエンテーションで必ず伝える「相談・苦情の申出先」(省令第3条の③)は、会社の支援担当者だけでは足りません。担当者に言いにくい悩み、会社そのものとのトラブル、夜間や休日の困りごとには、国や公的機関の多言語窓口が必要です。2026年9月時点で、全国どこからでも使える窓口を、番号・時間・対応言語つきでまとめました。

    全国共通の相談窓口(2026年9月時点)

    内容窓口電話時間対応言語
    在留資格・手続き外国人在留総合インフォメーションセンター(出入国在留管理庁)0570-013904(IP電話・海外から 03-5796-7112)平日 8:30〜17:15日・英・中・韓・西・葡・越・ネ・泰・緬・シンハラ(電話)
    在留・生活の総合相談外国人在留支援センター FRESC(東京・新宿)0570-011000平日 9:00〜17:00多言語(部署により異なる)
    賃金・残業・解雇・労災(夜・土日)労働条件相談ほっとライン(厚生労働省・無料)言語ごとに番号が違います(下の表)。日本語は 0120-811-610平日 17:00〜22:00、土日祝 9:00〜21:00(言語ごとに開設曜日が違う)英・中・葡・西・比・越・緬・ネ・韓・泰・尼・柬・蒙
    賃金・残業・解雇・労災(平日の昼)外国人労働者向け相談ダイヤル(厚生労働省・通話料あり)言語ごとに番号が違います(下の表)10:00〜15:00(12:00〜13:00を除く、言語ごとに開設曜日が違う)英・中・葡・西・比・越・緬・ネ・韓・泰・尼・柬・蒙
    差別・ハラスメント・人権外国語人権相談ダイヤル(法務省)0570-090911平日 9:00〜17:00英・中・韓・越・比・ネ・尼・泰・葡・西
    法律相談・弁護士法テラス 多言語情報提供サービス0570-078377平日10言語
    生活の悩み・孤独・DVよりそいホットライン(外国語ライン・ガイダンス2番)0120-279-338毎日 10:00〜22:00英・中・韓・比・葡・西・泰・越・ネ・尼
    年金・脱退一時金ねんきんダイヤル(日本年金機構)0570-05-1165平日 8:30〜17:15(英語は延長あり)英・中・韓・葡・西・比・越・尼・泰・ネ・緬
    災害時の安否確認災害用伝言ダイヤル171災害時 24時間日本語ガイダンス
    緊急警察/消防・救急/海上保安庁110/119/11824時間「日本語が分かりません」と言えば通訳につながる場合あり

    出典:出入国在留管理庁「困ったときの問合せ先」(2026年2月版)、外国人在留支援センター(FRESC)案内ページ、社会的包摂サポートセンター(よりそいホットライン)。番号・時間は変わることがあるので、資料に載せる前に各機関の公式サイトで確認してください。

    労働相談の電話番号(言語別)

    賃金・残業・解雇・労災などの相談は、言語ごとに番号と曜日が違います。夜と土日は無料の「労働条件相談ほっとライン」(平日17:00〜22:00、土日祝9:00〜21:00)、平日の昼は「外国人労働者向け相談ダイヤル」(10:00〜15:00、12:00〜13:00を除く・通話料あり)です。どちらも12月29日〜1月3日は休みです。

    言語ほっとライン(無料)開設曜日相談ダイヤル(平日昼)開設曜日
    英語0120-531-401毎日0570-001-701月〜金
    中国語0120-531-402毎日0570-001-702月〜金
    ベトナム語0120-531-406火・水・金・土・日0570-001-706月〜金
    インドネシア語0120-613-803木・日0570-001-715火・木
    タガログ語0120-531-405火・水・土0570-001-705月〜金
    ネパール語0120-531-408水・日0570-001-708月〜金
    ミャンマー語0120-531-407水・日0570-001-707火・水・金
    韓国語0120-613-801木・日0570-001-709火〜金
    タイ語0120-613-802木・日0570-001-712火・木
    ポルトガル語0120-531-403月〜土0570-001-703月〜金
    スペイン語0120-531-404木・金・土0570-001-704月〜金
    カンボジア語(クメール語)0120-613-804月・土0570-001-716水
    モンゴル語0120-613-805月・土0570-001-718金

    出典:厚生労働省「外国人労働者向け相談ダイヤル・労働条件相談ほっとライン」(check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/foreigner.html、2026年9月26日確認)。

    地域の窓口も必ず添える

    • 都道府県労働局の外国人労働者相談コーナー:管轄の労働局・労働基準監督署の番号と対応言語・曜日。
    • 地方出入国在留管理局・出張所:在留カードの再交付、各種届出の窓口。
    • 自治体の外国人相談窓口・国際交流協会:生活全般。多くの市で通訳つき。
    • 医療通訳:都道府県の医療通訳制度や、自治体が案内する多言語対応医療機関。

    これらは受入れ企業・寮の所在地で決まるため、資料は会社ごとに作る必要があります。オリエンキットの自社版パックでは、寮の住所から管轄官署と地域窓口を調べて記載します。

    伝え方のコツ

    1. 「最初に自分の言語名を言う」と教える。多くの窓口は、言語名を聞いてから通訳につなぎます。「Betonamu-go(ベトナム語)」のように日本語での言語名を資料に書いておきます。
    2. 担当者に言いにくい相談先を、担当者自身が案内する。会社とのトラブルの相談先を会社が示すことで、本人の安心感が上がり、問題の早期発見につながります。運用要領も、相談したことを理由に不利益な扱いをしないことを求めています。
    3. 名刺サイズのカードと寮のポスターで残す。8時間の説明の中で聞いた番号は忘れます。財布に入るカードと寮の壁の掲示があると、必要なときに使われます。
    4. 年1回は番号を確認する。ダイヤルの番号や時間は変わります。更新日を資料に入れておきます。

    訂正(2026年9月26日):以前の版で「外国人労働者向け相談ダイヤル」の番号を 0120-565-455 と記載していましたが、これは日本語のメンタルヘルス相談「こころの耳電話相談」の番号でした。上の表のとおり訂正しました。あわせて、外国人在留総合インフォメーションセンターの対応言語(電話)を出入国在留管理庁のページにあわせて直しました。

    関連資料

    上の表を母国語+日本語で収録した一般版ハンドブック(6言語・PDF)、寮に貼る緊急連絡先ポスター、理解を確認する理解度テスト(無料)があります。

  • 生活オリエンテーションの理解度確認|テストの作り方・合格基準・記録の残し方(無料の多言語テストつき)

    生活オリエンテーションの理解度確認|テストの作り方・合格基準・記録の残し方(無料の多言語テストつき)

    生活オリエンテーションは「8時間以上やれば終わり」ではありません。運用要領は、本人が十分に理解できるまで行うことを求めています。この記事では、理解度をどう確認し、どう記録に残すかを、無料で使える多言語テストの例とあわせて解説します。

    運用要領が求めているのは「理解」であって「実施」だけではない

    出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」は、生活オリエンテーションについて、①本邦での生活一般、②届出・手続、③相談・苦情の窓口、④医療機関、⑤防災・防犯・緊急時、⑥法的保護の6項目(特定技能基準省令第3条)を、本人が十分に理解できる言語で、少なくとも8時間以上行うこととしています。実施後は本人が署名する「生活オリエンテーションの確認書」(参考様式第5-8号)を作成し、支援を実施した事務所で保管します。

    確認書は「説明を受け、内容を十分に理解した」という本人の申告です。しかし、通訳を介して長時間の説明を受けた直後の署名だけでは、実際にどこまで伝わったかは分かりません。転居届の期限や在留カードの携帯義務のように、忘れると本人の在留に直接響く項目ほど、理解の確認が必要です。

    理解度確認の3つの方法と、それぞれの弱点

    方法長所弱点
    口頭で質問するその場で補足できる通訳の負担が大きい。記録が残らない
    紙のテスト(自作)記録が残る母国語版の作成と採点に時間がかかる。言語が増えるほど更新が大変
    Webの多言語テスト母国語で回答、自動採点、解説つき、修了証で記録スマホと通信環境が必要

    テストの作り方:6項目を外さず、全国共通の正解にする

    • 6項目すべてから出題する。確認書の6項目に対応させると、「この項目は理解を確認した」と説明できます。
    • 正解が全国で一つに決まる問題にする。ごみの曜日や避難所名は地域ごとに違うため、テストではなく自社版資料で確認します。テストに向くのは、110・119、住居地届出は14日以内、在留カードの常時携帯、口座・SIMの譲渡は犯罪、脱退一時金は出国後2年以内、といった制度に基づく項目です。
    • 3択で、母国語で出す。読解力の差が結果に出ないよう、選択肢は短く、専門用語には日本語を併記します。
    • 合格基準を決めて、不合格なら解説を読んで再受験。「十分に理解できるまで」の趣旨に合うのは、何度でも受け直せる運用です。目安は8割以上(14問なら12問)です。

    例題(3問)

    問1. 引っ越しをしたら、新しい住所の届出は何日以内にしますか? a) 3日以内 b) 14日以内に市区町村の役所へ c) 1年以内
    答え:b。会社を変わったときの出入国在留管理庁への届出も14日以内です。

    問2. 友達に「銀行口座・キャッシュカード・SIMカードを貸してほしい」と頼まれました。 a) 親しい友達なら貸してよい b) 貸す・売る・譲ることは犯罪。誰にも渡さない c) 1週間だけなら大丈夫
    答え:b。口座やSIMは詐欺に使われ、本人が逮捕・強制送還されることがあります。

    問3. 毎月の給料から引かれている年金保険料は、10年未満で帰国したらどうなりますか? a) 出国後2年以内に脱退一時金を請求できる(最大60か月分) b) 何も戻らない c) 空港で現金で返される
    答え:a。請求には基礎年金番号と銀行口座などが必要です。

    記録の残し方:確認書+テスト結果+修了証

    1. 実施日時・実施者・言語・通訳の有無を確認書(参考様式第5-8号)に記入し、本人の署名をもらう。
    2. テストの点数と実施日を記録し、確認書と一緒に保管する(修了証や結果画面の印刷で足ります)。
    3. 不合格だった項目は再説明し、再受験の結果も残す。
    4. 登録支援機関に委託している場合は、支援実施状況の報告に理解度確認の実施を記載できるよう、受入れ企業とも共有する。

    これらは法令上の必須書類ではありませんが、実地調査や在留期間更新の際に「支援を適切に実施している」ことを示す客観的な材料になります。

    無料で使える多言語テスト

    オリエンキットでは、上記の考え方で作った生活オリエンテーション 理解度テスト(7言語・14問・無料)を公開しています。受講者がスマホで母国語で回答し、間違えた問題には母国語の解説が出ます。合格すると日本語+母国語の修了証を発行でき(発行キーが必要。自社版パックと6言語セットには無料で付属)、氏名などの入力内容はサーバーに保存されません。

    よくある質問

    Q. テストに落ちた人は在留資格に影響しますか?
    ありません。テストは理解を確かめて説明を補うためのもので、合否を届け出る制度はありません。

    Q. 日本語能力が低い人には難しくないですか?
    母国語で出題するので、日本語能力は問いません。読み書きが苦手な人には、支援担当者が読み上げて一緒に進める運用が向いています。

    Q. 技能実習・育成就労でも使えますか?
    技能実習の入国後講習や、2027年4月からの育成就労の入国後講習(生活一般・法的保護)でも同じ内容が使えます。

    出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(生活オリエンテーション、参考様式第5-8号)、特定技能基準省令第3条。記事の内容は2026年9月時点の公開情報に基づきます。

  • 【2027年4月1日施行】育成就労制度の入国後講習はどう変わる?生活一般・法的保護の母国語教材を今から準備する

    技能実習制度に代わる育成就労制度は、2027年(令和9年)4月1日に始まります。出入国在留管理庁のQ&A(Q3)が運用開始日をこの日と明記し、施行期日を定める政令は2025年10月に公布されています。受入れ企業(育成就労実施者)と、監理団体に代わる監理支援機関にとって実務上いちばん変わるのは、入国後の講習と日本語の要件です。この記事では、公表されている一次資料(法律・省令・入管庁Q&A)をもとに、「講習で何を、誰が、どの言語で教えるのか」を整理し、今から準備できる教材について説明します。

    施行までのスケジュール

    時期できごと
    2024年6月21日改正入管法・育成就労法 公布
    2025年9月26日施行日を2027年4月1日とする政令を閣議決定(10月1日公布)
    2025年9月30日関係省令・告示を官報で公布
    2026年4月〜監理支援機関の許可の事前申請受付(民間解説では2026年4月15日開始・9月末までの申請推奨)
    2026年9月〜育成就労計画の認定の事前申請受付(同上)
    2027年3月31日技能実習計画の認定申請の期限(この日までに申請し、原則6月30日までに実習を開始する人は現行制度のまま/入管庁Q&A Q31)
    2027年4月1日育成就労制度 施行

    ※「事前申請」の開始日は民間の解説記事によるもので、正式な案内は入管庁・厚労省の公表をご確認ください。運用要領は「今後公表予定」とされています(2026年9月時点)。

    制度の骨格(技能実習との違い)

    • 目的:「人材育成」に加えて「人材確保」が目的に入り、3年で特定技能1号の水準まで育てる制度になります。
    • 転籍:本人の意向による転籍が、分野ごとに定める1年〜2年の制限期間の後に可能になります(入管庁Q&A Q48・Q50)。
    • 日本語:就労開始前までに、日本語教育の参照枠A1相当以上の試験に合格するか、認定日本語教育機関の「就労」課程でA1相当の講習を100時間以上受講することが必要です(Q56・Q64)。特定技能1号へ移行するときはA2相当の試験合格が必要です(Q63)。
    • 監理支援機関:監理団体は新たに許可を取り直します。外部監査人の設置、常勤役職員2人以上、担当1人あたり8社または40人までなどの要件が示されています。

    入国後講習:科目・時間・誰が教えるか

    省令で定められた入国後講習の科目は、技能実習の入国後講習と同じ4本柱です。

    科目内容教材として必要なもの
    ① 日本語A1相当講習(試験不合格の場合は100時間以上)、A2を目標とする講習認定日本語教育機関の課程
    ② 本邦での生活一般に関する知識生活ルール、公共サービス、交通、ごみ、銀行、病院、防災母国語の生活オリエンテーション教材
    ③ 法的保護に必要な情報入管法・労働法令、違反を知ったときの対応方法、相談窓口。専門的知識を有する者が講義(監理型では外部の者が実施)母国語の法的保護テキスト(講師用資料+本人配付用)
    ④ 円滑な技能等の修得に資する知識職場のルール、安全衛生、業務の基礎安全衛生教育テキスト・職場ルール

    時間数は、民間の省令解説によると、原則として320時間以上(A1相当試験に合格している場合は220時間以上)で、入国前講習を受けている場合は半分に短縮できるとされています。日本語以外の科目②③④は、本人が理解できる言語で行う必要があり、監理型では業務に従事させる前に全科目を終えることが求められます。法的保護(③)は8時間以上という整理も示されています。いずれも運用要領の公表で確定しますので、この記事は公表後に更新します。

    今の「生活オリエンテーション」との関係

    特定技能の生活オリエンテーション(8時間以上、6項目、確認書5-8号)は、育成就労が始まっても特定技能側の義務として残ります。育成就労から特定技能1号へ移行する人が増えるため、「育成就労の入国後講習で生活一般・法的保護を母国語で教え、3年後に特定技能へ移行するときに生活オリエンテーションを行う」という流れが標準になります。同じ会社・同じ地域の情報を、育成就労の講習教材と特定技能の生活オリエン冊子で共通化しておくことが、監理支援機関・登録支援機関の工数を減らすいちばんの近道です。

    受入れ企業・監理支援機関が今からできる準備

    1. 監理支援機関の許可申請(監理団体):外部監査人・常勤職員の確保。
    2. 育成就労計画のたたき台:分野・業務区分、1年目・3年目の技能試験の受験計画、日本語教育計画、転籍制限期間。
    3. 日本語教育の手配:認定日本語教育機関の「就労」課程との契約(A1講習100時間/A2目標講習)。費用は受入れ側の負担が原則です。
    4. 講習教材の母国語化:生活一般・法的保護・安全衛生の教材を、受け入れる国の言語で用意。技能実習の教材を流用する場合は、転籍・日本語要件・相談窓口の記述を育成就労仕様に直す必要があります。
    5. 2027年3月31日までの技能実習計画認定:現行制度で受け入れる予定の人は、期限までに申請。
    オリエンキットの「育成就労 入国後講習 教材パック」先行予約(無料)
    科目②生活一般と③法的保護の本人配付用テキスト(6言語・日本語併記)、講師用進行表、理解度テスト、受講記録を、運用要領の公表後・施行前(2027年3月)に納品します。いま予約すると、それまでの間は現行の生活オリエンテーション冊子(自社版)をそのまま使え、育成就労版への差し替えは無料です。予約時のお支払いはなく、納品時に予約価格でご請求します。→ 予約フォーム(プラン欄で「育成就労 先行予約」を選択)

    よくある質問

    Q. 技能実習の入国後講習の教材をそのまま使えますか?
    A. 4科目の枠組みは同じですが、転籍、日本語要件、特定技能への移行、監理支援機関の相談窓口など、制度が変わる部分の記述を直す必要があります。

    Q. 法的保護の講習は自社でできますか?
    A. 「専門的知識を有する者」による講義が必要で、監理型では外部の者が実施するとされています。教材は講義用の資料と本人の理解を助ける母国語テキストとして使います。

    Q. 施行前に受け入れた技能実習生は?
    A. 2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請をし、原則として6月30日までに実習を開始する人は、技能実習として最後まで行えます(Q31)。

    出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(Q3, Q31, Q48, Q50, Q56, Q63, Q64, Q69)、出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について」、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第60号)、施行期日を定める政令(2025年10月1日公布)。時間数・講師要件の整理は2026年9月時点の公表資料と民間解説に基づき、運用要領の公表後に更新します。本記事は法的助言ではありません。

  • 外国人労働者の雇入れ時安全衛生教育|安衛則第35条の8項目・言語の要件・記録の残し方【2024年改正対応】

    外国人労働者を雇い入れたとき、生活オリエンテーションとは別に安全衛生教育が必要です。労働安全衛生法第59条の義務で、在留資格を問わず全業種・全労働者が対象。2024年4月からは「業種によって一部項目を省略できる」規定がなくなり、8項目すべてを行うことになりました。この記事では、8項目の中身、外国人に対する言語の要件、記録の残し方を整理します。

    誰に・いつ必要か

    • 対象:雇い入れたすべての労働者(正社員・パート・アルバイト・技能実習生・特定技能・育成就労など在留資格を問わない)。
    • 時期:雇い入れ時、および作業内容を変更したとき(配置転換・新しい機械の導入など)。
    • 言語:厚生労働省の「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」は、外国人労働者が理解できる方法(母国語や平易な日本語、図解)で行うよう求めています。

    労働安全衛生規則第35条の8項目

    号項目具体例
    1機械等、原材料等の危険性又は有害性及びこれらの取扱い方法スライサーの巻き込まれ、フライヤーのやけど、洗浄剤の混合禁止、SDSの確認
    2安全装置、有害物抑制装置又は保護具の性能及び取扱い方法非常停止ボタンの位置、安全カバーを外さない、保護具の種類と交換時期
    3作業手順作業前・機械停止・重量物・異常時の手順(止める・呼ぶ・待つ)
    4作業開始時の点検安全装置の動作、床、保護具の破れ、体調
    5当該業務に関して発生するおそれのある疾病の原因及び予防熱中症、腰痛、化学物質、低温、騒音、感染症
    6整理、整頓及び清潔の保持通路・非常口の確保、定位置管理、こぼれの処理、手洗い
    7事故時等における応急措置及び退避止血・やけどの処置、119、非常口と集合場所、報告
    8その他当該業務に関する安全又は衛生のために必要な事項労災保険、健康診断、飲酒・睡眠不足・スマホ、相談先、危険作業の拒否

    2024年4月の改正で変わったこと

    改正前は、非工業的業種(小売、飲食、事務など)では1〜4号を省略できました。令和6年4月1日施行の改正で省略規定が削除され、すべての業種で8項目を実施することになりました。飲食・介護・宿泊・清掃なども対象です。

    無料教材と「自社版」の使い分け

    厚生労働省は多言語の安全衛生教材(未熟練労働者向けマニュアル、業種別の動画・教材)を公開しています。5〜8号の一般的な内容はこれで補えます。一方、1〜4号はその職場の機械・薬品・手順・点検項目を教える項目なので、会社ごとに資料を作る必要があります。外国人には母国語+日本語併記にしておくと、日本人の指導者が読み上げながら教えられます。

    記録の残し方

    雇入れ時教育には特別教育のような法定の記録保存義務(3年)はありませんが、労災が起きたときや労働基準監督署の調査では「教育を実施したか」を必ず確認されます。実施日時・講師・項目・言語・受講者の署名を記録し、確認テストの結果と一緒に3年以上保管することを勧めます。

    オリエンキットの安全衛生教育テキストは、御社の機械・薬品・手順・非常口をヒアリングして、8項目に沿った母国語・日本語併記のテキスト、確認テスト、実施記録を6言語で作成します(1社39,800円)。→ 詳細とサンプル

    出典:労働安全衛生法第59条、労働安全衛生規則第35条、厚生労働省「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」、厚生労働省「雇入れ時等の安全衛生教育の省略規定の廃止について」(令和6年4月)。

  • 特定技能「事前ガイダンス」とは|義務の10項目・3時間・確認書(参考様式第5-9号)を運用要領で解説

    特定技能1号の受入れでは、在留資格認定証明書(COE)の交付申請前に「事前ガイダンス」を実施し、確認書(参考様式第5-9号)を申請書類に添付する必要があります。この記事では、運用要領に基づいて説明すべき10項目、3時間の目安、実施方法、確認書、よくある不備を整理します。

    事前ガイダンスとは

    特定技能基準省令第3条第1項第1号イに定められた義務的支援で、特定技能雇用契約の内容、日本で行うことができる活動、上陸・在留の条件などを、COE交付申請前(在留中の人は在留資格変更申請前)に本人へ情報提供するものです。労働条件の説明を含むため、雇用契約の締結前に行うことが望ましいとされています。

    説明が義務の10項目

    項目ポイント
    1. 業務内容・報酬額その他の労働条件雇用条件書の内容を労働基準法第15条に基づき説明。危険有害業務に従事する場合は安全衛生の事項も
    2. 日本で行うことができる活動特定技能1号の活動であること、技能水準が認められた業務区分に従事すること
    3. 入国の手続きCOEの送付→大使館・領事館で査証申請→交付日から3か月以内に入国。在留中は変更許可(在留カード受領)まで新しい就労先で働けない
    4. 保証金・違約金契約の禁止本人・配偶者・親族等が保証金を徴収されず、違約金契約を結んでいないこと、今後も結ばないことを確認
    5. 外国の機関に支払った費用支払いの有無、機関名、年月日、金額、内訳を本人が理解し合意していることを確認
    6. 支援費用の本人負担なし義務的支援の費用は所属機関等が負担し、直接・間接に本人へ負担させない
    7. 空港・港での出迎えと送迎事業所または住居までの送迎を行うこと
    8. 住居確保の支援内容社宅等の広さ、家賃など本人が負担する金額
    9. 相談・苦情の申出を受ける体制曜日・時間帯・方法(面談・電話・メール等)
    10. 支援担当者の氏名・連絡先メールアドレス等

    任意的支援として、入国時の気候・服装、持参すべき物・持参してはならない物、入国後当面必要な金額、会社から支給される物(作業着等)の情報提供も推奨されています。

    時間・方法・言語

    • 時間:十分に理解できるまで。目安として3時間程度。技能実習生等を同一機関で引き続き雇用する場合も、1時間に満たないと適切とはいえません。
    • 方法:対面、またはテレビ電話装置・インターネットのビデオ通話など。本人確認を行ったうえで実施。文書の郵送や電子メールのみは不可。
    • 言語:本人が十分に理解することができる言語。
    • 転職時:別の所属機関に移る場合も再実施が必要。

    確認書(参考様式第5-9号)

    実施後、事前ガイダンスの確認書を本人に示して確認のうえ署名を得ます。この確認書はCOE交付申請(または在留資格変更許可申請)の提出書類です。実施日時・方法、所属機関(登録支援機関)名、説明者名、10項目のチェック、本人の署名が揃っているか確認しましょう。

    よくある不備

    送出機関に丸投げ

    送出機関への委託は排除されませんが、送出機関が保証金を徴収しているような場合は支援体制の基準を満たさないと判断されるおそれがあります。

    費用の確認漏れ

    送出機関等への支払額と内訳を本人が理解・合意していることの確認は必須項目です。記入表を使って記録を残しましょう。

    メールで資料を送っただけ

    対面またはビデオ通話が必要です。本人確認と質疑応答の記録を残します。

    労働条件の説明が雇用条件書の読み上げだけ

    控除の内訳と手取りの目安まで示すと、入国後の「話が違う」を防げます。

    オリエンキットの事前ガイダンス・キットは、御社の雇用条件を母国語・日本語併記の説明資料にし、3時間の進行表・理解度テスト・会社名入り確認書をセットで納品します(1社29,800円・6言語)。→ 詳細とサンプル

    出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」別冊(令和7年4月1日一部改正)「(1) 事前ガイダンスの提供」、特定技能基準省令第3条・第4条、上陸基準省令。

  • ベトナム人特定技能の生活オリエンテーションをベトナム語で行うには|資料の用意と費用

    特定技能1号の在留者は国籍別でベトナムが最多です。ベトナム人の特定技能外国人を受け入れる企業が、生活オリエンテーションをベトナム語で行うときに押さえるべきポイントと、資料を用意する方法をまとめます。

    「日本語ができる人」でもベトナム語で行う理由

    運用要領は、生活オリエンテーションを本人が十分に理解することができる言語で実施することを求めています。日常会話ができる人でも、脱退一時金、住民税の課税のしくみ、労災、36協定といった制度の説明を日本語だけで理解するのは困難です。ベトナム語と日本語を併記した資料を使えば、本人は母国語で理解し、日本人の担当者は日本語で内容を追えます。

    ベトナム人労働者に特に丁寧に説明したい項目

    • 口座・キャッシュカード・SIMの譲渡が犯罪であること。同郷のつながりの中で名義貸しを頼まれるケースが報告されています。運用要領の「日本で違法となる行為」に明記されている項目です。
    • 年金の脱退一時金と所得税の還付。帰国後に受け取れるお金の説明は関心が高く、正確に説明することで会社への信頼につながります。
    • 住民税が2年目から課税され、帰国後も前年分の納税義務が残ること。
    • 緊急時の連絡先。110・119の使い方、避難所、担当者の電話番号を母国語のカードにして渡す。
    • 相談窓口。入管・労基署に相談しても不利益を受けないことを伝える。

    ベトナム語資料の用意の仕方

    方法費用感注意点
    国の動画・ガイドブック(ベトナム語)無料一般的な内容のみ。会社・地域固有の情報は別途必要
    翻訳会社に自社資料の翻訳を依頼1文字あたり数円〜(A4・30ページで10万円前後)制度用語の訳語のばらつき、更新のたびに費用
    登録支援機関に委託月額2〜3万円/人の支援費に含まれることが多い資料の内容・言語対応は機関によって差がある
    オリエンキット(自社版パック)1社39,800円(税込)会社・地域の情報を入れたベトナム語・日本語併記の冊子と進行表・テスト・確認書を3営業日で納品

    出典:出入国在留管理庁「特定技能1号在留外国人数」(国籍別)、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」別冊。費用感は一般的な目安です。