カテゴリー: 生活オリエンテーション

  • 登録支援機関の支援費用と、生活オリエンテーションを自社で行う場合のコスト

    特定技能の支援を登録支援機関に委託すると、支援費用は「1人あたり月額2〜3万円」が相場と言われます。その中で生活オリエンテーションはどう扱われているのか、自社支援に切り替える場合に何が必要か、費用の内訳から考えます。

    登録支援機関の支援費用の内訳

    登録支援機関の月額支援費には、義務的支援(事前ガイダンス、出入国時の送迎、住居確保支援、生活オリエンテーション、公的手続の同行、日本語学習の機会提供、相談・苦情対応、日本人との交流促進、転職支援、定期面談・行政機関への通報)の実施が含まれます。生活オリエンテーションは入国直後に1回(8時間以上)行う支援なので、月額費用の中では「初期費用」的な位置づけです。機関によっては初期費用として別途3〜10万円程度を設定している例もあります。

    自社支援に切り替えるときの条件

    受入れ企業が自社で支援を行うには、過去2年間に中長期在留者の受入れまたは管理の実績があること、支援責任者・支援担当者を選任すること、本人が十分に理解できる言語で支援できる体制があることなどの要件があります。「理解できる言語での支援体制」は、通訳の確保や母国語資料の整備で満たすことになります。

    生活オリエンテーションにかかる実費

    項目自社支援の場合備考
    説明者の人件費8時間×担当者の時給複数人を同時に実施すれば1人あたりは下がる
    通訳1時間5,000〜10,000円程度(8時間で4〜8万円)母国語資料があれば通訳時間を短縮できる
    母国語資料翻訳会社で10万円前後/オリエンキット39,800円国の動画(無料)は一般編として併用
    確認書・記録の整備自社で作成すれば無料参考様式第5-8号を母国語併記にしておくと署名時の説明が楽

    委託と自社支援、どちらが向いているか

    • 受入れ人数が少なく、支援経験もない:登録支援機関への委託が現実的。ただし生活オリエンテーションの内容が一般論だけになっていないか、資料を確認する。
    • 受入れ人数が多く、社内に外国人対応の担当者がいる:自社支援に切り替えると年間で数十万〜数百万円の支援費を削減できる。母国語資料と記録の型を整えることが最初の投資。
    • 登録支援機関自身:支援先ごとに地域情報を変えた資料を用意する手間が大きい。雛形を持ち、会社・地域固有の部分だけ差し替える運用が効率的。
    オリエンキットは、受入れ企業向けの自社版パック(1社39,800円)と、登録支援機関向けの10社パック(298,000円)を用意しています。→ 料金を見る

    出典:出入国在留管理庁「特定技能制度」支援に関する各資料、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」。費用の相場は一般的な目安であり、機関・地域により異なります。

  • 生活オリエンテーション「8時間以上」の進め方|2日×4時間のモデル進行表

    「生活オリエンテーションは8時間以上」と言われても、何をどう並べれば8時間になるのか分かりにくいものです。ここでは運用要領の6項目を2日×4時間に配分したモデル進行表と、各コマで使う教材(国の動画+自社資料)を紹介します。

    なぜ8時間なのか

    運用要領は、情報提供事項を十分に理解するためには少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられる、としています。生活環境に変化がない人(技能実習からの移行など)でも4時間未満は不可です。1日にまとめる必要はなく、分割して構いません。

    モデル進行表(2日×4時間)

    コマ内容教材
    1日目 13:00–13:50会社と支援担当者、相談できること、公的な相談窓口(入管・労基署・ハローワーク・警察・市役所)自社資料(担当者名・連絡先・管轄窓口)
    14:00–14:50交通ルール、通勤経路と所要時間、定期券・ICカード、自転車保険国の動画「交通ルール」+自社資料(通勤経路)
    15:00–15:50ごみの分別と収集日、近隣ルール、買い物の場所国の動画「生活ルール」+自治体の分別表・寮の地区の収集曜日
    16:00–17:00医療機関の利用、保険証、医療通訳、夜間・休日の受診先国の動画「医療」+地域の外国語対応病院リスト
    2日目 13:00–13:50防災・防犯・緊急時:110/119、避難所と経路、地震・津波・台風・火災、緊急速報メール国の動画「災害」+寮・事業所の避難所地図
    14:00–14:50届出・税・社会保険:住居地届出、所属機関の届出、住民税、マイナンバー、年金と脱退一時金国の動画「税金・年金」+会社の給与天引きの説明
    15:00–15:50法的保護:違法となる行為、労働者の権利、会社が違反したときの相談先国の動画「労働」+就業規則の要点
    16:00–17:00振り返り、確認テスト、質疑応答、確認書に署名テスト10問・確認書(参考様式第5-8号)

    進め方のコツ

    • 一般編は国の動画に任せる。出入国在留管理庁の動画は17言語・約14本あり、交通・税・医療などの一般的な内容はこれで十分です。
    • 固有編は紙で渡す。担当者の電話番号、通勤経路、ごみの曜日、避難所などは動画にはありません。母国語と日本語を併記した冊子にして、寮に置いておけるようにします。
    • 質問できる体制を作る。動画視聴による実施は認められていますが、質問に応答できる体制が条件です。各コマの最後に5分の質問時間を取り、通訳アプリや母国語の資料で答えられるようにしておきます。
    • 記録を残す。進行表に実施日時と説明者を記入し、テストの答案と確認書と一緒に保管します。
    オリエンキットでは、この進行表と、固有編にあたる自社版の冊子(母国語・日本語併記)、確認テスト、確認書、緊急連絡カードを一式にして3営業日で納品しています。→ サンプルを見る

    出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」別冊(令和7年4月1日一部改正)。

  • 入管の生活オリエンテーション動画(17言語)の使い方と、動画だけでは足りない項目

    出入国在留管理庁は「生活オリエンテーション動画」を17言語で無料公開しています。運用要領でも活用が推奨されている便利な教材ですが、動画だけでは義務的支援を満たせない点があります。動画の内容と使い方、足りない部分の補い方を解説します。

    国の動画の内容

    動画は、生活上のルール、仕事、税金、医療、災害など日本での生活に必要な基本情報を紹介するもので、ベトナム語・インドネシア語・ネパール語・ミャンマー語・タガログ語・英語などを含む17言語版があります。出入国在留管理庁のホームページから誰でも視聴できます。

    動画視聴による実施は認められている

    運用要領は、生活オリエンテーションの実施方法として、テレビ電話やDVD等の動画視聴によるものでも差し支えないとしています。ただし、本人からの質問に適切に応答できるコミュニケーション体制を整備することが条件です。「動画を見せて終わり」では要件を満たしません。

    動画に含まれていない義務項目

    運用要領の必須項目国の動画受入れ企業が用意するもの
    支援担当者の氏名・電話・メール—実際の担当者名と連絡先、対応時間
    管轄の入管・労基署・ハローワーク・警察・市役所の連絡先全国共通の案内のみ事業所の所在地に応じた管轄窓口の住所・電話
    勤務先までの経路と所要時間、定期券・ICカード—寮から事業所までの実際の通勤手段
    地域のごみの分別・収集日、粗大ごみの出し方一般論市区町村の分別表と寮の地区の収集曜日
    理解できる言語で受診できる医療機関一般論地域の外国語対応病院・医療通訳制度
    避難場所と経路一般論寮・事業所の指定避難所、津波避難ビル
    就業規則の要点、給与天引きの内訳—会社ごとの説明

    組み合わせ方

    おすすめは「一般編=国の動画、固有編=自社の母国語資料」の二層構成です。8時間の進行表に動画の各本を配置し、その直後に自社・地域の情報を紙で説明します。動画のタイトルと視聴日時を進行表に書いておけば、実施記録にもなります。

    オリエンキットの自社版パックは、国の動画を組み込む前提で設計しており、固有編の冊子(母国語・日本語併記)、進行表、確認テスト、確認書をセットで提供します。→ サービス概要

    出典:出入国在留管理庁「生活オリエンテーション動画」、「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」別冊(令和7年4月1日一部改正)。

  • 生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)の書き方と保管

    生活オリエンテーションを実施したら、参考様式第5-8号「生活オリエンテーションの確認書」に本人の署名をもらって保管します。この記事では確認書の項目、記入のポイント、保管期間、よくある記入ミスをまとめます。

    確認書は「提出」ではなく「保管」する書類

    運用要領は、生活オリエンテーションを実施した場合は確認書を1号特定技能外国人に示して確認のうえ、署名を得て記録しておく必要があるとしています。地方出入国在留管理局に提出する書類ではありませんが、定期届出や実地調査で支援の実施状況を証明する根拠になります。

    確認書に書く項目

    項目記入のポイント
    実施日時複数日に分けた場合はすべての日付と時間帯を書き、合計が8時間以上になることが分かるようにする
    特定技能所属機関(または登録支援機関)の名称委託している場合は登録支援機関名と登録番号
    説明者の氏名実際に説明した支援担当者。通訳を使った場合は通訳者名も記録しておくと安心
    説明した事項のチェック(1)生活一般 (2)届出・手続 (3)相談・苦情の窓口 (4)医療機関 (5)防災・防犯・緊急時 (6)法的保護 の6項目すべてにチェック
    本人の署名・署名日本人が「内容を十分に理解した」ことを確認して署名。母国語版の確認書を併用すると理解の証明になる

    署名の前に「理解した」ことを確かめる

    運用要領は、生活オリエンテーションは本人が十分に理解できるまで行うことを求めています。署名だけ先にもらう運用は避け、口頭の質疑や簡単な確認テストを行ってから署名をもらうと、実施の実質を示せます。テストの答案を確認書と一緒に綴じておく方法が実務的です。

    よくあるミス

    • 日本語版の確認書だけに署名させている(母国語または本人が理解できる言語の版を示す)
    • 実施日が1日・2時間しか書かれていない(8時間以上の目安に満たない)
    • 転職者に対して「前の会社でやったから」と省略している(所属機関が変われば再実施)
    • 担当者の連絡先を伝えた記録がない(相談・苦情の申出先は必須項目)

    保管期間

    支援に関する書類は、支援計画の実施に関する記録として、当該外国人の在留期間中はもちろん、契約終了後も一定期間(一般に1年以上、多くの実務では3〜5年)保管することが望ましいとされています。定期届出の際にすぐ出せる場所に、進行表・テスト・確認書をセットで保管しましょう。

    オリエンキットの自社版パックには、会社名・説明者名を入れた確認書(参考様式第5-8号対応・母国語併記)と、実施日時を記録する進行表、確認テスト10問が含まれます。→ サービス概要

    出典:出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」別冊(令和7年4月1日一部改正)、参考様式第5-8号。