特定技能「生活オリエンテーション」とは|義務項目・8時間・確認書・動画の使い方【2026年版】

特定技能1号の外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)と登録支援機関には、入国後に「生活オリエンテーション」を実施する義務があります。このページでは、出入国在留管理庁の「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)に基づき、何を・どの言語で・何時間・どう記録するかを整理します。

生活オリエンテーションとは

特定技能基準省令第3条第1項第1号ニに定められた義務的支援の一つで、1号特定技能外国人が入国した後(在留資格変更の場合は変更許可を受けた後)遅滞なく、日本での職業生活・日常生活・社会生活に必要な情報を提供するものです。運用要領では次の6つの事項について情報提供することが求められています。

省令の事項具体的に説明する内容(運用要領より)
(1) 本邦での生活一般に関する事項①金融機関の利用方法 ②医療機関の利用方法 ③交通ルール(歩行者右側・車両左側、自転車保険) ④公共交通機関、勤務先までの経路と所要時間、定期券・ICカード ⑤生活ルール・マナー(地域のごみの分別・収集日、騒音、喫煙) ⑥生活必需品の購入場所(スーパー・コンビニ・ドラッグストア等の所在地) ⑦気象・災害情報の入手方法 ⑧日本で違法となる行為の例 ⑨出産・子育てに関する制度
(2) 国・地方公共団体への届出その他の手続所属機関等に関する届出、住居地の届出、社会保障・税の手続(保険料・税の未納が在留資格の更新に影響しうること、年金の脱退一時金 など)
(3) 相談・苦情の申出先の連絡先支援担当者の氏名・電話・メール、管轄の地方出入国在留管理局・労働基準監督署・ハローワーク・警察・市区町村など公的機関の連絡先
(4) 理解できる言語で受診できる医療機関本人が十分に理解できる言語で医療を受けられる医療機関、医療通訳の制度、医療通訳費用を補償する民間保険の案内
(5) 防災・防犯・緊急時の対応110・119・118の使い方、避難場所と経路、地震・津波・台風・火災への備え、緊急速報メールの設定、防犯
(6) 法的保護に必要な事項入管法令・労働法令違反を知ったときの対応方法と相談先、労働者としての権利(賃金・労災・安全衛生など)

いつ・誰が・どの言語で実施するか

  • 時期:入国後(または在留資格変更後)遅滞なく。転職などで別の特定技能所属機関に移った場合も、改めて実施が必要です。
  • 実施者:特定技能所属機関。登録支援機関に支援を委託している場合は登録支援機関が実施します。
  • 言語:本人が十分に理解することができる言語。母国語が原則で、日本語能力が高い場合を除き日本語のみの実施は不適切とされるおそれがあります。

時間の目安は「少なくとも8時間以上」

運用要領は、生活オリエンテーションは本人が十分に理解できるまで行う必要があり、情報提供事項を十分に理解するためには少なくとも8時間以上行うことが必要と考えられる、としています。技能実習2号良好修了者や留学生を同じ機関で引き続き雇用するなど生活環境に変化がない場合でも、4時間に満たないときは適切に行ったとはいえないと明記されています。

実務上は「1日4時間×2日」または「1日2時間×4日」のように分割し、進行表に各コマの内容と教材を記録しておくと、定期届出や監査の際に実施状況を説明しやすくなります。

実施方法:対面・テレビ電話・動画も可

実施方法は対面に限らず、テレビ電話やDVD等の動画視聴でも差し支えないとされています。ただし、本人から内容について質問があった場合に適切に応答できる、コミュニケーションがとれる体制の整備が条件です。

出入国在留管理庁は、生活上のルール・仕事・税金など基本的な情報を17言語で紹介する「生活オリエンテーション動画」を公開しており、運用要領でも活用が推奨されています。あわせて「生活・就労ガイドブック」や外国人生活支援ポータルサイトも参考資料として挙げられています。

国の動画だけでは埋まらない項目

国の動画は全国共通の一般的な内容です。一方、運用要領が求める事項には、支援担当者の連絡先、勤務先までの経路と所要時間、地域のごみの分別・収集日、地域の外国語対応医療機関、寮や事業所の避難場所など、会社ごと・地域ごとに異なる情報が含まれます。これらは受入れ企業側で母国語の資料を用意する必要があります。

確認書(参考様式第5-8号)への署名と保管

生活オリエンテーションを実施した場合は、生活オリエンテーションの確認書(参考様式第5-8号)を本人に示して確認のうえ、署名を得て記録しておく必要があります。確認書は提出書類ではありませんが、支援の実施状況を証明する書類として、支援を実施した事務所で保管します。定期届出(支援実施状況に係る届出)や地方出入国在留管理局からの求めに応じて提示できるようにしておきましょう。

よくある不備

日本語のみで実施

本人が十分に理解できる言語で行う義務を満たしません。通訳または母国語資料が必要です。

時間が短い

「動画を1時間見せた」だけでは8時間以上の目安に達しません。分割実施と進行表で記録を。

確認書がない

実施していても署名入りの確認書が残っていないと証明できません。

転職後に未実施

別の所属機関に移った場合も再実施が必要です。

地域情報が抜けている

ごみの収集日、避難所、地域の病院、管轄官署など、地域固有の項目が一般論のままになりがちです。

担当者の連絡先がない

相談・苦情の申出先として、担当者の氏名・電話・メールを具体的に伝える必要があります。

自社版資料を作るときのチェックリスト

  1. 支援担当者の氏名・電話・メール、対応時間、対応言語
  2. 管轄の地方出入国在留管理局、労働基準監督署、ハローワーク、警察署、市区町村窓口、法テラス、大使館の連絡先
  3. 寮から事業所までの通勤手段・経路・所要時間、定期券・ICカードの買い方
  4. 市区町村のごみ分別区分と、寮の地区の収集曜日・指定袋
  5. 近隣の生活必需品の購入場所(スーパー・コンビニ・ドラッグストア・家電量販店)
  6. 外国語対応の医療機関、医療通訳制度、夜間・休日の受診先、救急病院
  7. 寮・事業所の指定避難所と経路、津波避難ビル、緊急速報メール・自治体の防災メール
  8. 住居地届出・所属機関の届出・住民税・マイナンバー・年金と脱退一時金の説明
  9. 日本で違法となる行為、労働者の権利、会社が違反した場合の相談先
  10. 8時間の進行表、理解度の確認(テスト等)、確認書(参考様式第5-8号)
オリエンキットでは、上記1〜10を会社・寮の所在地に合わせて母国語・日本語併記の冊子(ベトナム語・インドネシア語・ネパール語・ミャンマー語・英語)にまとめ、8時間の進行表・確認テスト・会社名入りの確認書・緊急連絡カードとあわせて3営業日で納品しています。
→ サンプル冊子(豊橋市の例・5言語)を見る → サービス概要と料金

出典

  • 出入国在留管理庁「1号特定技能外国人支援に関する運用要領」(令和7年4月1日一部改正)別冊 「生活オリエンテーション」の項
  • 特定技能基準省令(特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令)第3条第1項第1号ニ・ホ
  • 出入国在留管理庁「生活オリエンテーション動画」(17言語)、「生活・就労ガイドブック」、外国人生活支援ポータルサイト
  • 参考様式第5-8号「生活オリエンテーションの確認書」

本ページは制度の一般的な解説であり、個別の案件については所轄の地方出入国在留管理局または行政書士等の専門家にご確認ください。