技能実習制度に代わる育成就労制度は、2027年(令和9年)4月1日に始まります。出入国在留管理庁のQ&A(Q3)が運用開始日をこの日と明記し、施行期日を定める政令は2025年10月に公布されています。受入れ企業(育成就労実施者)と、監理団体に代わる監理支援機関にとって実務上いちばん変わるのは、入国後の講習と日本語の要件です。この記事では、公表されている一次資料(法律・省令・入管庁Q&A)をもとに、「講習で何を、誰が、どの言語で教えるのか」を整理し、今から準備できる教材について説明します。
施行までのスケジュール
| 時期 | できごと |
|---|---|
| 2024年6月21日 | 改正入管法・育成就労法 公布 |
| 2025年9月26日 | 施行日を2027年4月1日とする政令を閣議決定(10月1日公布) |
| 2025年9月30日 | 関係省令・告示を官報で公布 |
| 2026年4月〜 | 監理支援機関の許可の事前申請受付(民間解説では2026年4月15日開始・9月末までの申請推奨) |
| 2026年9月〜 | 育成就労計画の認定の事前申請受付(同上) |
| 2027年3月31日 | 技能実習計画の認定申請の期限(この日までに申請し、原則6月30日までに実習を開始する人は現行制度のまま/入管庁Q&A Q31) |
| 2027年4月1日 | 育成就労制度 施行 |
※「事前申請」の開始日は民間の解説記事によるもので、正式な案内は入管庁・厚労省の公表をご確認ください。運用要領は「今後公表予定」とされています(2026年9月時点)。
制度の骨格(技能実習との違い)
- 目的:「人材育成」に加えて「人材確保」が目的に入り、3年で特定技能1号の水準まで育てる制度になります。
- 転籍:本人の意向による転籍が、分野ごとに定める1年〜2年の制限期間の後に可能になります(入管庁Q&A Q48・Q50)。
- 日本語:就労開始前までに、日本語教育の参照枠A1相当以上の試験に合格するか、認定日本語教育機関の「就労」課程でA1相当の講習を100時間以上受講することが必要です(Q56・Q64)。特定技能1号へ移行するときはA2相当の試験合格が必要です(Q63)。
- 監理支援機関:監理団体は新たに許可を取り直します。外部監査人の設置、常勤役職員2人以上、担当1人あたり8社または40人までなどの要件が示されています。
入国後講習:科目・時間・誰が教えるか
省令で定められた入国後講習の科目は、技能実習の入国後講習と同じ4本柱です。
| 科目 | 内容 | 教材として必要なもの |
|---|---|---|
| ① 日本語 | A1相当講習(試験不合格の場合は100時間以上)、A2を目標とする講習 | 認定日本語教育機関の課程 |
| ② 本邦での生活一般に関する知識 | 生活ルール、公共サービス、交通、ごみ、銀行、病院、防災 | 母国語の生活オリエンテーション教材 |
| ③ 法的保護に必要な情報 | 入管法・労働法令、違反を知ったときの対応方法、相談窓口。専門的知識を有する者が講義(監理型では外部の者が実施) | 母国語の法的保護テキスト(講師用資料+本人配付用) |
| ④ 円滑な技能等の修得に資する知識 | 職場のルール、安全衛生、業務の基礎 | 安全衛生教育テキスト・職場ルール |
時間数は、民間の省令解説によると、原則として320時間以上(A1相当試験に合格している場合は220時間以上)で、入国前講習を受けている場合は半分に短縮できるとされています。日本語以外の科目②③④は、本人が理解できる言語で行う必要があり、監理型では業務に従事させる前に全科目を終えることが求められます。法的保護(③)は8時間以上という整理も示されています。いずれも運用要領の公表で確定しますので、この記事は公表後に更新します。
今の「生活オリエンテーション」との関係
特定技能の生活オリエンテーション(8時間以上、6項目、確認書5-8号)は、育成就労が始まっても特定技能側の義務として残ります。育成就労から特定技能1号へ移行する人が増えるため、「育成就労の入国後講習で生活一般・法的保護を母国語で教え、3年後に特定技能へ移行するときに生活オリエンテーションを行う」という流れが標準になります。同じ会社・同じ地域の情報を、育成就労の講習教材と特定技能の生活オリエン冊子で共通化しておくことが、監理支援機関・登録支援機関の工数を減らすいちばんの近道です。
受入れ企業・監理支援機関が今からできる準備
- 監理支援機関の許可申請(監理団体):外部監査人・常勤職員の確保。
- 育成就労計画のたたき台:分野・業務区分、1年目・3年目の技能試験の受験計画、日本語教育計画、転籍制限期間。
- 日本語教育の手配:認定日本語教育機関の「就労」課程との契約(A1講習100時間/A2目標講習)。費用は受入れ側の負担が原則です。
- 講習教材の母国語化:生活一般・法的保護・安全衛生の教材を、受け入れる国の言語で用意。技能実習の教材を流用する場合は、転籍・日本語要件・相談窓口の記述を育成就労仕様に直す必要があります。
- 2027年3月31日までの技能実習計画認定:現行制度で受け入れる予定の人は、期限までに申請。
科目②生活一般と③法的保護の本人配付用テキスト(6言語・日本語併記)、講師用進行表、理解度テスト、受講記録を、運用要領の公表後・施行前(2027年3月)に納品します。いま予約すると、それまでの間は現行の生活オリエンテーション冊子(自社版)をそのまま使え、育成就労版への差し替えは無料です。予約時のお支払いはなく、納品時に予約価格でご請求します。→ 予約フォーム(プラン欄で「育成就労 先行予約」を選択)
よくある質問
Q. 技能実習の入国後講習の教材をそのまま使えますか?
A. 4科目の枠組みは同じですが、転籍、日本語要件、特定技能への移行、監理支援機関の相談窓口など、制度が変わる部分の記述を直す必要があります。
Q. 法的保護の講習は自社でできますか?
A. 「専門的知識を有する者」による講義が必要で、監理型では外部の者が実施するとされています。教材は講義用の資料と本人の理解を助ける母国語テキストとして使います。
Q. 施行前に受け入れた技能実習生は?
A. 2027年3月31日までに技能実習計画の認定申請をし、原則として6月30日までに実習を開始する人は、技能実習として最後まで行えます(Q31)。
出典:出入国在留管理庁「育成就労制度Q&A」(Q3, Q31, Q48, Q50, Q56, Q63, Q64, Q69)、出入国在留管理庁「育成就労制度の関係省令等について」、出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第60号)、施行期日を定める政令(2025年10月1日公布)。時間数・講師要件の整理は2026年9月時点の公表資料と民間解説に基づき、運用要領の公表後に更新します。本記事は法的助言ではありません。
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受講者がスマホで回答し、合格すると日本語+母国語の修了証を発行。参考様式第5-8号の確認書に添付する「理解したこと」の記録に使えます。